岡山で開催されている日本薬学会で,サルの遺伝的多様性をテーマに少し話をさせていただきました.進化的なバックグラウンドをちょっと知るだけでも,実際にサルを用いた研究を行う方には役に立つのではないかなと思います.
今まで参加したことのない大会ですが,規模の大きさに圧倒されます.町全体が学会場という感じです.
2010年3月29日月曜日
2010年3月23日火曜日
2010年3月18日木曜日
投稿直前のチェック
改定したサルの論文の投稿をやっと終えました.長々と引っ張ってきた仕事なのでそろそろ奇麗に片付いてほしいところです.続きも色々やりたいんですが,現在の状況ではしばらくお預けになっています.誰か興味がある人がいれば引き継いでもらえるのですが.
で,最近の論文の投稿はほぼすべてオンラインで行われています.多くの場合はMSワードで書いたファイルを向こうのウェブサイトにアップロードしてPDFに変換されるのを待ちます.
最近では少なくなったとはいえ,PDFに変換する時のエラーもかなりの確率で起こります.なので,出来上がったPDFに細かく最終チェックを入れるのですが,チェックの時についつい細かいところを色々と直したくなってきてしまいます.
元のファイルをキッチリ直してアップロードを一発で済ませればいいのですが,細かく直して変換,また直して変換,とかなり効率の悪いことをやってしまっています.同じことをやってしまう人も多いのではないでしょうか.
こういった癖は,治そうと思っていてもなかなか治りません.
で,最近の論文の投稿はほぼすべてオンラインで行われています.多くの場合はMSワードで書いたファイルを向こうのウェブサイトにアップロードしてPDFに変換されるのを待ちます.
最近では少なくなったとはいえ,PDFに変換する時のエラーもかなりの確率で起こります.なので,出来上がったPDFに細かく最終チェックを入れるのですが,チェックの時についつい細かいところを色々と直したくなってきてしまいます.
元のファイルをキッチリ直してアップロードを一発で済ませればいいのですが,細かく直して変換,また直して変換,とかなり効率の悪いことをやってしまっています.同じことをやってしまう人も多いのではないでしょうか.
こういった癖は,治そうと思っていてもなかなか治りません.
2010年3月12日金曜日
2010年3月6日土曜日
犬山なう
京大霊長類研究所の研究会に参加させていただきました.非常に活発な研究会で色々と勉強になりました.
写真は犬山駅すぐそばのモンキー薬局.さすが犬山といったところですが,同行の人類学の先生が,「あれはテナガザルなのでエイプ薬局だ」と鋭く突っ込んでいました.
日本語では類人猿もそのほかの猿もすべてサルでまとめてしまいますが,英語ではテナガザルまでの類人猿はape,そのほかをmonkeyと呼びます.
昔は尻尾の無いサルをapeと呼んでいたので,尻尾のほとんどないニホンザルをJapanese apeと呼んでいたという話も聞いたことがありますが,現在はJapanese monkeyと呼ぶのが普通のようです.
2010年3月2日火曜日
2010年3月1日月曜日
Human and Non-Human Primate Genomes Share Hotspots of Positive Selection
PLoS Geneticsの論文です.
ヒトとチンパンジーの配列を比べたり,ヒトの遺伝的多様性を調べたりすることによってヒト化に関わる遺伝子を見つける試みが行われています.
ただし,我々はヒトが一番進化した存在だとついつい思いがちですが,生命が生まれてから経験した時間はどの生物種も一緒であるとことを忘れてはいけません.また,ほぼ中立説のアイデアにのっとると,有効集団サイズが小さいヒトは,他の霊長類よりもむしろ緩い淘汰を受けているのではないかと考えられます.
この研究では,ヒトで正の淘汰を受けたとされる候補の遺伝子が,他の霊長類でも見られるかということを調べています.興味深いことに,淘汰を受けた遺伝子には統計的に有意な共通性がありました.つまり,ヒトのある遺伝子に早い進化の痕跡がみられたとしても,同じことが他のサルでも見つかった場合には,それはヒトだけの特徴にはならないということです.
驚いたのは,ヒトが言語をしゃべる遺伝的原因の一部になったのではないかといわれるFOXP2遺伝子周辺の多型を見てみると,チンパンジーでもオランウータンでも似たようなパターンがみられるということです.FOXP2に何かが起こったことは確かでしょうが,ヒトにだけ起こったのではないかもしれません.
ヒトとチンパンジーの配列を比べたり,ヒトの遺伝的多様性を調べたりすることによってヒト化に関わる遺伝子を見つける試みが行われています.
ただし,我々はヒトが一番進化した存在だとついつい思いがちですが,生命が生まれてから経験した時間はどの生物種も一緒であるとことを忘れてはいけません.また,ほぼ中立説のアイデアにのっとると,有効集団サイズが小さいヒトは,他の霊長類よりもむしろ緩い淘汰を受けているのではないかと考えられます.
この研究では,ヒトで正の淘汰を受けたとされる候補の遺伝子が,他の霊長類でも見られるかということを調べています.興味深いことに,淘汰を受けた遺伝子には統計的に有意な共通性がありました.つまり,ヒトのある遺伝子に早い進化の痕跡がみられたとしても,同じことが他のサルでも見つかった場合には,それはヒトだけの特徴にはならないということです.
驚いたのは,ヒトが言語をしゃべる遺伝的原因の一部になったのではないかといわれるFOXP2遺伝子周辺の多型を見てみると,チンパンジーでもオランウータンでも似たようなパターンがみられるということです.FOXP2に何かが起こったことは確かでしょうが,ヒトにだけ起こったのではないかもしれません.
2010年2月5日金曜日
Competition drives cooperation among closely related sperm of deer mice
Natureの論文
http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature08736.html
ネズミの精子はヒトと少し違って頭が鉤状になっているのですが,それが塊になって受精に向かう意味についての研究です.
精子が受精するまでに経験する競争は苛烈です.無事に生まれてきた私たちは2億分の一の競争を生き残ったのです.
論文では,野生のネズミの精子の集合についての詳細な研究がおこなわれています.精子が協力してひと塊りになることによって,卵まで到達する確率があがるのですが,反面,塊を形成する過程で受精機能をなくしてしまうリスクもしょっています.
ただ,同じ遺伝子型を持った精子同士であれば,たとえ自分が失敗しても同じ遺伝子型を持った仲間が先に進んでくれるので,進化上は有利であると考えられます.したがって,精子が塊になって
面白いことに,乱婚型(一匹のメスが多数の雄と交尾する)であるネズミの別個体の精子を競争させてみると,同じ個体同士の精子が集まり合い易いことが分かりました.つまり,精子が自分の仲間と敵を見分けて協力し合っていることになります.(実際には表面のタンパク質の相互作用か何かで結合能力が決まってくるのだとは思うので,協力というのは擬人的な表現ですが.)
更に面白いことに,この自己,非自己の認識は一夫一妻型のネズミでは見られなかったということです.つまり,精子の敵対・協力システムは,乱婚型にとって有利であるために進化した形質であると考えられます.
この先,どうやって精子が自己・非自己を認識しているのか分子レベルまでさかのぼれると非常に面白いのではないでしょうか.もし見つかったとしたらどのような分子進化のパターンを示すのか興味がわきます.
http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature08736.html
ネズミの精子はヒトと少し違って頭が鉤状になっているのですが,それが塊になって受精に向かう意味についての研究です.
精子が受精するまでに経験する競争は苛烈です.無事に生まれてきた私たちは2億分の一の競争を生き残ったのです.
論文では,野生のネズミの精子の集合についての詳細な研究がおこなわれています.精子が協力してひと塊りになることによって,卵まで到達する確率があがるのですが,反面,塊を形成する過程で受精機能をなくしてしまうリスクもしょっています.
ただ,同じ遺伝子型を持った精子同士であれば,たとえ自分が失敗しても同じ遺伝子型を持った仲間が先に進んでくれるので,進化上は有利であると考えられます.したがって,精子が塊になって
面白いことに,乱婚型(一匹のメスが多数の雄と交尾する)であるネズミの別個体の精子を競争させてみると,同じ個体同士の精子が集まり合い易いことが分かりました.つまり,精子が自分の仲間と敵を見分けて協力し合っていることになります.(実際には表面のタンパク質の相互作用か何かで結合能力が決まってくるのだとは思うので,協力というのは擬人的な表現ですが.)
更に面白いことに,この自己,非自己の認識は一夫一妻型のネズミでは見られなかったということです.つまり,精子の敵対・協力システムは,乱婚型にとって有利であるために進化した形質であると考えられます.
この先,どうやって精子が自己・非自己を認識しているのか分子レベルまでさかのぼれると非常に面白いのではないでしょうか.もし見つかったとしたらどのような分子進化のパターンを示すのか興味がわきます.
2010年1月26日火曜日
Human Ancestors Were an Endangered Species
サイエンスのニュースより.
http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2010/119/2
ヒトの祖先は絶滅危惧種だったという刺激的なタイトルですが,ヒトの集団が過去に集団のボトルネックを経験したであろうことは昔からよく言われていますし,有効な集団サイズが10の4乗くらいで,現生のチンパンジーやゴリラと比べると少ないのはこれまでの研究で良く分かっています.
ニュースでも触れられていますが,元の論文に目を通してみるとこの論文の面白いところは結果よりも方法であるということがわかります.
一つ目のポイントは,レアなイベントであるトランスポゾン配列の挿入欠失が集団内で多型的であった場合には,その周辺の領域は他より古い歴史を持つ(共通祖先が古い)ということです.ヒトのゲノムは領域ごとに異なった歴史の長さ(coalescent time)を持つので,若い領域には比較的珍しいイベントである挿入欠失が起こらないだろうということです.したがって,古い歴史を持つ領域を調べれば,最近の集団の変化に影響されないデータが得られ,より正確に過去の出来事を推定できるということです.
実際に,Alu配列の挿入の多型がある場所を調べてみると,その近傍の塩基多様度はゲノム平均の倍くらいで,理論による予測と合致します.
もう一つは,この研究がたった二つのゲノム配列を用いて行われたものだということです.組み換えはゲノムをバラバラにして異なった系譜で遺伝させていきますので,全ゲノムを調べるということは別々の道筋を通ってきた様々な領域の歴史を知ることになります.今後ハプロタイプが正確に推定できるようになると,たった一人のゲノムを調べただけで,人類の歴史がわかるようになることも可能だと思われます.
ただ,ニュースのタイトルのような単純な解釈には注意が必要かと思われます.集団の有効サイズは実際の集団サイズとは異なった基準の数値であり,集団の構造やら何やらで色々と変化します.その時に10,000人しか人類がいなかったと考えるのは早計でしょう.
また,チンパンジーやゴリラの多様性は亜種を含んでいることも考慮に入れるべきかもしれません.100万年くらい前というと,ホモ・エレクトゥスという人類種が旧世界中に拡散して繁栄していました.現在では旧世界のグループはすべて絶滅したと考えられていますので,亜種レベルで階層化された集団があり,その後我々の先祖になったアフリカのグループだけが生き残ったと考えると,それほどおかしくない値であると思います.
http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2010/119/2
ヒトの祖先は絶滅危惧種だったという刺激的なタイトルですが,ヒトの集団が過去に集団のボトルネックを経験したであろうことは昔からよく言われていますし,有効な集団サイズが10の4乗くらいで,現生のチンパンジーやゴリラと比べると少ないのはこれまでの研究で良く分かっています.
ニュースでも触れられていますが,元の論文に目を通してみるとこの論文の面白いところは結果よりも方法であるということがわかります.
一つ目のポイントは,レアなイベントであるトランスポゾン配列の挿入欠失が集団内で多型的であった場合には,その周辺の領域は他より古い歴史を持つ(共通祖先が古い)ということです.ヒトのゲノムは領域ごとに異なった歴史の長さ(coalescent time)を持つので,若い領域には比較的珍しいイベントである挿入欠失が起こらないだろうということです.したがって,古い歴史を持つ領域を調べれば,最近の集団の変化に影響されないデータが得られ,より正確に過去の出来事を推定できるということです.
実際に,Alu配列の挿入の多型がある場所を調べてみると,その近傍の塩基多様度はゲノム平均の倍くらいで,理論による予測と合致します.
もう一つは,この研究がたった二つのゲノム配列を用いて行われたものだということです.組み換えはゲノムをバラバラにして異なった系譜で遺伝させていきますので,全ゲノムを調べるということは別々の道筋を通ってきた様々な領域の歴史を知ることになります.今後ハプロタイプが正確に推定できるようになると,たった一人のゲノムを調べただけで,人類の歴史がわかるようになることも可能だと思われます.
ただ,ニュースのタイトルのような単純な解釈には注意が必要かと思われます.集団の有効サイズは実際の集団サイズとは異なった基準の数値であり,集団の構造やら何やらで色々と変化します.その時に10,000人しか人類がいなかったと考えるのは早計でしょう.
また,チンパンジーやゴリラの多様性は亜種を含んでいることも考慮に入れるべきかもしれません.100万年くらい前というと,ホモ・エレクトゥスという人類種が旧世界中に拡散して繁栄していました.現在では旧世界のグループはすべて絶滅したと考えられていますので,亜種レベルで階層化された集団があり,その後我々の先祖になったアフリカのグループだけが生き残ったと考えると,それほどおかしくない値であると思います.
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