citationとquotationとは英語では違う意味を持ちますが,日本語では「引用」という訳語しか一般に使われていません.そのため色々な誤解が出てくるようです.
英語でquotationとは,ある発言や文章をありのままに引用することです.quotation mark(”)で囲ったり,ブロックを使って引用します.この場合,もとの文章を勝手に変えることが許されなかったり,中略するときは「...」を使わないといけなかったりと色々ルールが厳しいです.自分が言ったこと,書いたことが勝手に改変されて世間に広まるのは様々なトラブルを生みますので,このような厳しいルールがあるのだと思います.
これに対して自然科学論文の多くではcitationという言葉が使われます(indirect quotationという呼び方もあるらしいですが).この場合は,誰かが言ったこと,書いたことをある程度要約して言い直すことができます.引用元を明記するのがルールですが,それ以外の細かいルールはありません.ただ,この時にもとの文章をまるまるコピー(若しくは若干改変)しただけだと,今度は文章の著作権に引っかかります(いわゆる剽窃).引用をすれば文章をコピペしてもOKという誤解はここから発生しているのだと思います.
問題なのはこの二つがしばしば同じ「引用」という言葉で表されていることでしょうか.厳密には前者を「直接引用」,後者を「間接引用」 と呼ぶらしいですが,一般的にあまり聞いたことはありません.論文の引用はreferenceという言葉もあるので,「参照」という言葉の方がしっくりくると思うのですがどうでしょう.
2014年10月9日木曜日
2014年9月26日金曜日
2014年9月11日木曜日
2014年9月2日火曜日
本棚:Mutation-Driven Evolution
Mutation-Driven Evolution
毎年行われている遺伝研DNA分析研究室のサマーセミナーにゲスト参加させていただきました. 毎年泊りがけで一冊の本を読むということで,今年の課題はこの本でした.
これまでの進化学の歴史の中に根井正利先生の研究と進化史観が位置づけられています.色々意見もあるのですが,ここは議論するところではないので良いところを書きます.
最後に,この本のテーマを一般的な集団遺伝学モデルから僕なりに解釈してみると,「適応的な突然変異が起こる確率はどのくらい高いのか」という点になるのではないかと思いました.
毎年行われている遺伝研DNA分析研究室のサマーセミナーにゲスト参加させていただきました. 毎年泊りがけで一冊の本を読むということで,今年の課題はこの本でした.
これまでの進化学の歴史の中に根井正利先生の研究と進化史観が位置づけられています.色々意見もあるのですが,ここは議論するところではないので良いところを書きます.
- これまでの進化学の歴史についてはよくまとめられているので, 初習者には非常にためになる内容が含まれています.また,普段あまりスポットライトが当たらないド・フリースの突然変異説や岡先生の種分化モデルなども取り上げられているので,一般の研究者にとっても勉強になります.進化学の歴史に興味がある方にはよい教材です.
- 実際に行われた分子進化の研究例が豊富に取り上げられています.基本的には長期的な進化が興味の対象なので,集団内の変異や生態学的な視点自体は中心となっていません.
- 英語ですが,文章はとてもわかりやすいです.
- 目的論的な考え(teleological thinking)の危うさと陥りやすさについて述べられていますが,これについては僕も非常に同意します.
- 木村先生は表現型の進化については適応的な説明を残していましたが,根井先生は表現型の進化の中にも中立なものがあるだろうと言っています.これについては同意します.
- 一般的に言われる自然選択の仕組み無しに,新しいニッチに新しい種が広がることがある,ということには同意します.
最後に,この本のテーマを一般的な集団遺伝学モデルから僕なりに解釈してみると,「適応的な突然変異が起こる確率はどのくらい高いのか」という点になるのではないかと思いました.
2014年3月26日水曜日
年度末の報告
しばらく更新していませんでしたが,まだ生きています.年度末の近況報告を兼ねて三点.
1
三月の中旬に太田朋子先生の80歳を記念して国際シンポジウムが行われ,微力ながらもお手伝いをさせていただきました.海外から多数の著名な進化学者が集まり,とても質の高いものだったのではないかと思います.
最終日には遺伝研でシンポジウムを開きましたが,発表者全員がUSアカデミーのメンバーという豪華な顔ぶれでした.発表内容すべてがweak selectionに関するものではありませんでしたが,この考えが後の進化学に与えた影響の大きさを感じることができました.
2
昨年末からFrontiersシリーズのAssociate Editorを引き受けています.あまり日本語の記事がないので少し紹介しておきます.
もともとはスイスの研究者(神経科学者)たちが,コミュニティベースのオープンアクセス雑誌を作ろうと始まったものらしいですが,最近ではNature Publishing Groupが買収したりして注目を集めています.進化学に関連する分野ではFrontiers in Geneticsという雑誌が存在したのですが,最近新しくFrontiers in Ecology and Evolutionという雑誌も始められました. 少し変わっているのは,Editorial Boardが雑誌ごとにつくのではなく,細目ごとにあり(僕はEvolutionary and Population Geneticsというセクション),雑誌間で共通のレビュープロセスを持っていることです.
特徴的なのはレビューシステムで,最初のレビュー(これはいつもと変わらないレビュー)の後は,レビュワーとオーサーがウェブフォーラム(コメントをやり取りできる掲示板のようなもの)でお互いが納得するまでやり取りできるというものです.基本的な判断基準はPLOS ONE形式で,方法にさえ間違えがなければアクセプトするというものです.論文がアクセプトされた後はページビュー数などの独自の評価により論文をランキングしていくとのことです.つまり,論文の重要度は査読の時にではなく,出版後に評価されるべきであるという趣旨のようです.また,論文がアクセプトされた時にのみ,論文にレビュワーの名前が載る決まりになっています.
さて,エディターになると少し特典があって,一本だけ論文をタダで出させてもらえるということなので(もちろん査読はあります),お試しがてらに拙文をレビューしてもらいました.感想ですが,新しいレビュープロセス自体は僕の場合はとてもスムーズに働きました.雑誌のインパクトファクターなどではなく,素早く論文を出して引用を稼ぎたい,かつ科学的な質を保ちたいときに向いている形式ではないかと思います.ただ,レビュワーの負担が大きいシステムなので,投稿が増えたときにどうやって進めていくかがこれからの課題になると思います.興味がある方は是非投稿してみてください.
3
STAP細胞の件.内容については触れませんが,Methodならコピペでもよかろうとか,Introductionだからコピペは仕方なしとかいうような意見を平然と言ってのける研究者がいるのにはびっくりしました.そういった考えをあぶりだす意味では意味のある事件だったのではないかと思います.程度の差こそありますが,剽窃に関しては現在はコンピュータで簡単にわかってしまうので,これまで以上に厳密にやっていく必要があります.アメリカなどでは文章を言い換えるという訓練がありますが,日本の英語教育ではあまり見たことがありません.そういった訓練も科学英語教育には必要なのではないかと感じます.
また,引用に関してですが,出典を示せばコピペが許されるわけではなく,引用箇所は引用だとわかるように「”」で囲むか,インデントをつけてブロックにするなどの明示が必要です.このあたりもわかっていない人がいるようなので少し驚きました.
1
三月の中旬に太田朋子先生の80歳を記念して国際シンポジウムが行われ,微力ながらもお手伝いをさせていただきました.海外から多数の著名な進化学者が集まり,とても質の高いものだったのではないかと思います.
最終日には遺伝研でシンポジウムを開きましたが,発表者全員がUSアカデミーのメンバーという豪華な顔ぶれでした.発表内容すべてがweak selectionに関するものではありませんでしたが,この考えが後の進化学に与えた影響の大きさを感じることができました.
2
昨年末からFrontiersシリーズのAssociate Editorを引き受けています.あまり日本語の記事がないので少し紹介しておきます.
もともとはスイスの研究者(神経科学者)たちが,コミュニティベースのオープンアクセス雑誌を作ろうと始まったものらしいですが,最近ではNature Publishing Groupが買収したりして注目を集めています.進化学に関連する分野ではFrontiers in Geneticsという雑誌が存在したのですが,最近新しくFrontiers in Ecology and Evolutionという雑誌も始められました. 少し変わっているのは,Editorial Boardが雑誌ごとにつくのではなく,細目ごとにあり(僕はEvolutionary and Population Geneticsというセクション),雑誌間で共通のレビュープロセスを持っていることです.
特徴的なのはレビューシステムで,最初のレビュー(これはいつもと変わらないレビュー)の後は,レビュワーとオーサーがウェブフォーラム(コメントをやり取りできる掲示板のようなもの)でお互いが納得するまでやり取りできるというものです.基本的な判断基準はPLOS ONE形式で,方法にさえ間違えがなければアクセプトするというものです.論文がアクセプトされた後はページビュー数などの独自の評価により論文をランキングしていくとのことです.つまり,論文の重要度は査読の時にではなく,出版後に評価されるべきであるという趣旨のようです.また,論文がアクセプトされた時にのみ,論文にレビュワーの名前が載る決まりになっています.
さて,エディターになると少し特典があって,一本だけ論文をタダで出させてもらえるということなので(もちろん査読はあります),お試しがてらに拙文をレビューしてもらいました.感想ですが,新しいレビュープロセス自体は僕の場合はとてもスムーズに働きました.雑誌のインパクトファクターなどではなく,素早く論文を出して引用を稼ぎたい,かつ科学的な質を保ちたいときに向いている形式ではないかと思います.ただ,レビュワーの負担が大きいシステムなので,投稿が増えたときにどうやって進めていくかがこれからの課題になると思います.興味がある方は是非投稿してみてください.
3
STAP細胞の件.内容については触れませんが,Methodならコピペでもよかろうとか,Introductionだからコピペは仕方なしとかいうような意見を平然と言ってのける研究者がいるのにはびっくりしました.そういった考えをあぶりだす意味では意味のある事件だったのではないかと思います.程度の差こそありますが,剽窃に関しては現在はコンピュータで簡単にわかってしまうので,これまで以上に厳密にやっていく必要があります.アメリカなどでは文章を言い換えるという訓練がありますが,日本の英語教育ではあまり見たことがありません.そういった訓練も科学英語教育には必要なのではないかと感じます.
また,引用に関してですが,出典を示せばコピペが許されるわけではなく,引用箇所は引用だとわかるように「”」で囲むか,インデントをつけてブロックにするなどの明示が必要です.このあたりもわかっていない人がいるようなので少し驚きました.
2013年12月22日日曜日
謎の極小微生物『ナノバクテリア』に関する論争に終止符 自己増殖メカニズムと病原的意義を解明
岡山大学のプレスリリース
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id131.html
確かに論争に終止符という素晴らしい内容の研究ですが,タイトルだけ見るとナノバクテリアの存在が証明されたかのような誤解を与える可能性がありますね.思わずどきっとしてしまいました.話には聞いたことがありましたが,やはり生物であるということは否定されたようです.
未知の生物系の研究は,培養可能なものであれば,今だと次世代シークエンサーで全部読んでしまうのが手っ取り早いのではないかと思います.
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id131.html
確かに論争に終止符という素晴らしい内容の研究ですが,タイトルだけ見るとナノバクテリアの存在が証明されたかのような誤解を与える可能性がありますね.思わずどきっとしてしまいました.話には聞いたことがありましたが,やはり生物であるということは否定されたようです.
未知の生物系の研究は,培養可能なものであれば,今だと次世代シークエンサーで全部読んでしまうのが手っ取り早いのではないかと思います.
2013年12月17日火曜日
本棚:ヒトは病気とともに進化した
北里大学の太田先生,総研大の長谷川先生が編集された本の一部(第二章)を執筆させていただきました.
病気の進化というと所謂「進化医学」という言葉が有名ですが,この本ではそれより一歩踏み込んだ内容が中心で,(集団)遺伝学というハードコアな分野の紹介となっています.一言で表せるような単純な分野ではなく,前提となる知識も多いのですが,導入部として,知識がほとんどなくても最初から読み通せば順を追って理解できるような作りを心掛けてみました.
病気の進化というと所謂「進化医学」という言葉が有名ですが,この本ではそれより一歩踏み込んだ内容が中心で,(集団)遺伝学というハードコアな分野の紹介となっています.一言で表せるような単純な分野ではなく,前提となる知識も多いのですが,導入部として,知識がほとんどなくても最初から読み通せば順を追って理解できるような作りを心掛けてみました.
2013年12月3日火曜日
著者の値段
Science誌に中国での論文著者の売買について踏み込んだ記事がありました.
China's Publication Bazaar
お金を払えば既にパブリケーションが確実な論文の共著者に加えてもらえるというサービスがたくさん存在するようです.
他にも,
データを渡せば論文を書いてくれる
データが全くなくても論文を書いてくれる
ある会社にお金を払えば,あるジャーナルに確実にアクセプトされる
などとやりたい放題のようです.データがないのに論文を書くのは気が咎める,という人にはレビューやメタ解析の論文を代筆してくれるという心配りがたまりません.
中国でこのようなことが横行している原因の一つは,採用や昇進に関してインパクトファクター若しくはSCIジャーナル至上主義が蔓延しているためであるとしています.
論文代筆は日本でも聞いたことがありますが,もし論文の中で代筆について適切に述べられていなければ不正であると考えられます.科学者がお金を払って論文を書いてもらうことについては,比較的害は少ないと言えますが,製薬企業などが自ら代筆を行い,その身元を隠ぺいする場合については重大な嫌疑がかけられます.とりもなおさず,著者に関してはギフトオーサーシップの排除を含め,公正明大にやらなければいけないということでしょう.
ちなみに,最近では論文校正を企業にしてもらった場合でも謝辞に記すべしという動きもあるようです.
China's Publication Bazaar
お金を払えば既にパブリケーションが確実な論文の共著者に加えてもらえるというサービスがたくさん存在するようです.
他にも,
データを渡せば論文を書いてくれる
データが全くなくても論文を書いてくれる
ある会社にお金を払えば,あるジャーナルに確実にアクセプトされる
などとやりたい放題のようです.データがないのに論文を書くのは気が咎める,という人にはレビューやメタ解析の論文を代筆してくれるという心配りがたまりません.
中国でこのようなことが横行している原因の一つは,採用や昇進に関してインパクトファクター若しくはSCIジャーナル至上主義が蔓延しているためであるとしています.
論文代筆は日本でも聞いたことがありますが,もし論文の中で代筆について適切に述べられていなければ不正であると考えられます.科学者がお金を払って論文を書いてもらうことについては,比較的害は少ないと言えますが,製薬企業などが自ら代筆を行い,その身元を隠ぺいする場合については重大な嫌疑がかけられます.とりもなおさず,著者に関してはギフトオーサーシップの排除を含め,公正明大にやらなければいけないということでしょう.
ちなみに,最近では論文校正を企業にしてもらった場合でも謝辞に記すべしという動きもあるようです.
2013年10月9日水曜日
遺伝子的多様性
科研費申請のシーズンです.
と,5年ほど前の自分の申請課題を見てみると大きな間違いに気づきました.以下の科研費データベースで見られるのですが,
https://kaken.nii.ac.jp/d/p/19770073.ja.html
「遺伝子的多様性」となっています.
あわてて昔の申請書を見てみましたが,ちゃんと遺伝的多様性となっています.どこで間違ったのでしょうか... ウェブ入力の時かもしれません.ずっと記録で残るものでこれは恥ずかしい.
昔,遺伝学会に参加した時に事務の人が勝手に「遺伝子学会」と修正してたことを思い出します.
と,5年ほど前の自分の申請課題を見てみると大きな間違いに気づきました.以下の科研費データベースで見られるのですが,
https://kaken.nii.ac.jp/d/p/19770073.ja.html
「遺伝子的多様性」となっています.
あわてて昔の申請書を見てみましたが,ちゃんと遺伝的多様性となっています.どこで間違ったのでしょうか... ウェブ入力の時かもしれません.ずっと記録で残るものでこれは恥ずかしい.
昔,遺伝学会に参加した時に事務の人が勝手に「遺伝子学会」と修正してたことを思い出します.
2013年8月22日木曜日
Life history trade-offs at a single locus maintain sexually selected genetic variation
Natureの記事です.
クジャクの羽やシカの角など,雄が明らかに生存に不利そうな形質を持っている生物は多く知られています.そういったものを説明するためにダーウィンは性選択という概念を提唱しましたが,実際にどのような形で淘汰が行われているかについては様々な説があり,議論の的になっています.特に,性選択がとても強ければその形質はすぐに集団中に広まってしまい,集団中に変異が見られなくなってしまうのではないかというパラドックスが存在します.
それが今回の野生のヒツジ(Ovis aries)の場合は割と簡単に説明できてしまったという話です.オスのヒツジの角の遺伝的変異はRXFP2という遺伝子の変異で大半が説明できてしまうそうです(実はそっちの発見の方がすごい気もしますが).そこで,RXFP2の遺伝子型と生存率,繁殖率の差を調べたところ,大きな角を持つタイプの遺伝子をヘテロで持つ雄が,生存率と繁殖率を合わせた適応度が一番高い(ヘテロ雄は交配では不利だが生存率が高い)ことがわかりました.つまり,この遺伝子に多様性があるのはヘテロ接合体が有利である超優性という単純なメカニズムで説明できるということです.
ただ,この研究はなぜ「性選択に関わる形質に多様性があるのか」というかなり狭い範囲の質問に答えているだけなので,そもそもなぜ角の大きいヒツジはモテるのか,という根本的な問題はまだまだ謎のようです.ともあれ,シークエンス技術の発達で色々な野生生物の遺伝子が比較的簡単に決められるようになりました.こういった面白い研究が今後さらに増えていくのではないかと思います.
2013/8/23追記
よく考えてみると,角の大きさは見てわかるので,適応度の計算は遺伝子を知らなくてもできますね.ということはこの論文のポイントはメスでは遺伝子型による生存率が変わらなかったというところでしょうか.
クジャクの羽やシカの角など,雄が明らかに生存に不利そうな形質を持っている生物は多く知られています.そういったものを説明するためにダーウィンは性選択という概念を提唱しましたが,実際にどのような形で淘汰が行われているかについては様々な説があり,議論の的になっています.特に,性選択がとても強ければその形質はすぐに集団中に広まってしまい,集団中に変異が見られなくなってしまうのではないかというパラドックスが存在します.
それが今回の野生のヒツジ(Ovis aries)の場合は割と簡単に説明できてしまったという話です.オスのヒツジの角の遺伝的変異はRXFP2という遺伝子の変異で大半が説明できてしまうそうです(実はそっちの発見の方がすごい気もしますが).そこで,RXFP2の遺伝子型と生存率,繁殖率の差を調べたところ,大きな角を持つタイプの遺伝子をヘテロで持つ雄が,生存率と繁殖率を合わせた適応度が一番高い(ヘテロ雄は交配では不利だが生存率が高い)ことがわかりました.つまり,この遺伝子に多様性があるのはヘテロ接合体が有利である超優性という単純なメカニズムで説明できるということです.
ただ,この研究はなぜ「性選択に関わる形質に多様性があるのか」というかなり狭い範囲の質問に答えているだけなので,そもそもなぜ角の大きいヒツジはモテるのか,という根本的な問題はまだまだ謎のようです.ともあれ,シークエンス技術の発達で色々な野生生物の遺伝子が比較的簡単に決められるようになりました.こういった面白い研究が今後さらに増えていくのではないかと思います.
2013/8/23追記
よく考えてみると,角の大きさは見てわかるので,適応度の計算は遺伝子を知らなくてもできますね.ということはこの論文のポイントはメスでは遺伝子型による生存率が変わらなかったというところでしょうか.
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