ちょっと前になりますが,進化学会では,生物の多様性を解析する場合には一座位のみを用いた解析では偶然の結果によるバラつきが大きいので,解析する座位数を増やしましょうという話を簡単にさせていただきました.
要は,組み換えが起こらないと,遺伝子の系統の歴史というものは,ある条件で与えられたいくつもの可能な系統パターンの中のたった一つしか反映することができないということです.どのパターンが選ばれるかは過去の偶然によってきまり,今現在どのくらいの個体をサンプルするかには依存しません.サンプル数を増やしても,歴史のサンプル数はたったひとつだということです.この問題は,組み換えを起こしてそれぞれバラバラに継承されている領域を取り,歴史のサンプル数を増やすことによって克服できます.
この点に関してはいくつもの良いレビューがありますが,Ballard and Whitlockのレビューは分子生態学者向けに書かれているので読みやすいのではないかと思います.
もう一つミトコンドリアの解析で気にしなければいけないのは,ミトコンドリアにselective sweepがあるかどうかということでしょう.これは未だに議論の余地があるところですが,基本的なアイデアはGillespieのgenomic draftという,常にselective sweepが起こっていると仮定するモデルです.時間当たり一定の量のselective sweepが起こっていれば,集団サイズが大きいほどより頻繁にsweepが起こり,集団に入ってくる突然変異の量と打ち消しあって集団内の変異量が一定になるというモデルです.BazinらのScienceの論文が有名だと思います.
2010年8月30日月曜日
2010年8月20日金曜日
どうしても打ち間違えてしまう単語
何100回打ったかわからないはずなのですが,"reviewer"という単語を何度やってもミスタイプしてしまいます.スペルミスではなくて手が勝手に間違うようです.
よく考えると"i"と"o"もしばしば順番を間違えて打ってしまうので("statoin"のように)薬指と中指を交互に動かす時にうまくコントロールできていないようです.
試しに,"reviwew"でGoogle検索をしてみたら15,100件,"reviwer"で122,000件がヒットしました.みなさんやっていることは同じようです.
よく考えると"i"と"o"もしばしば順番を間違えて打ってしまうので("statoin"のように)薬指と中指を交互に動かす時にうまくコントロールできていないようです.
試しに,"reviwew"でGoogle検索をしてみたら15,100件,"reviwer"で122,000件がヒットしました.みなさんやっていることは同じようです.
2010年8月11日水曜日
過去を知る
進化学会も無事に終わりました.
僕は割と仮説の検証の妥当性など細かいことを聞いてしまう癖があるので,クレーマーのような印象を与えてしまうかもしれませんが,基本的にはリスペクターです.ただ,どんなに面白い論文でも基本的なことに穴があると残念なので,気が付いたときは指摘することにしています.
最近は紹介できるような新しい論文は見つけていないのですが,いくつか古い論文を読んでいました.分子生物学の分野なら30年前の論文から得られることはあまりないかもしれませんが,進化の分野は古い論文の中にも新たな発見が色々とあります.方法論やデータはものすごい勢いで発展していますが,基本的なアイデアは昔からそれほど変わっていないのです.そこが遺伝学,進化学の醍醐味でしょうか.
僕は割と仮説の検証の妥当性など細かいことを聞いてしまう癖があるので,クレーマーのような印象を与えてしまうかもしれませんが,基本的にはリスペクターです.ただ,どんなに面白い論文でも基本的なことに穴があると残念なので,気が付いたときは指摘することにしています.
最近は紹介できるような新しい論文は見つけていないのですが,いくつか古い論文を読んでいました.分子生物学の分野なら30年前の論文から得られることはあまりないかもしれませんが,進化の分野は古い論文の中にも新たな発見が色々とあります.方法論やデータはものすごい勢いで発展していますが,基本的なアイデアは昔からそれほど変わっていないのです.そこが遺伝学,進化学の醍醐味でしょうか.
2010年7月13日火曜日
2010年学会シーズン
学会シーズンも迫り,色々と忙しくなってきました.学会の準備もしつつ,秋までにはまとめたい仕事がいくつかあります.8月からはラボのメンバーも増えるので,少しは賑やかになりそうです.
今年度の秋は以下の三つに参加します.
8月:進化学会,9月:国際霊長類学会,遺伝学会
あと,11月の日本DNA多型学会のシンポジウムでも発表予定です.できるだけそれぞれ違う内容で話したいと思っています.
今年度の秋は以下の三つに参加します.
8月:進化学会,9月:国際霊長類学会,遺伝学会
あと,11月の日本DNA多型学会のシンポジウムでも発表予定です.できるだけそれぞれ違う内容で話したいと思っています.
2010年7月5日月曜日
カニクウサル
昨晩のTV番組でシルバーリーフモンキーが尻尾でカニを釣って食べるという紹介がありました.結局その番組ではシルバーリーフモンキーはカニを食べず,サイノモルガスモンキーというのが本当のカニを釣るサルだというところで終わっていました.
サイノモルガスモンキー(cynomolgus monkey)というのはカニクイザル(crab-eating monkey)の別名で、いつもいろいろとお世話になっているサルです.他にもしっぽが長いことからlong-tailed monkeyとも呼ばれています.何故いろんな名前があるのかはよくわかりませんが,種内の多様性が高いのでもともと別の名前がついていたのだろうと勝手に想像しています.
僕は学生の時のボスがcynomolgusに拘っていたのでそのまま使い続けていますが,アメリカの研究者なんかはcrab-eatingと呼んでいる人が多いように感じます.ヒトによって呼び方が違うのは面倒なので,最近は学名を書いて済ませてしまっています.
で,このサルは名前の通りカニを食べるらしいのですが,尻尾で釣りをするというのは流石にないだろうというのを図鑑で読んだ記憶があります.本当だったら見てみたいところですが...
サイノモルガスモンキー(cynomolgus monkey)というのはカニクイザル(crab-eating monkey)の別名で、いつもいろいろとお世話になっているサルです.他にもしっぽが長いことからlong-tailed monkeyとも呼ばれています.何故いろんな名前があるのかはよくわかりませんが,種内の多様性が高いのでもともと別の名前がついていたのだろうと勝手に想像しています.
僕は学生の時のボスがcynomolgusに拘っていたのでそのまま使い続けていますが,アメリカの研究者なんかはcrab-eatingと呼んでいる人が多いように感じます.ヒトによって呼び方が違うのは面倒なので,最近は学名を書いて済ませてしまっています.
2010年6月28日月曜日
本棚:人類が消えた世界
今夜のテレビで「人類ZEROの未来!」という番組が放映されていましたが,たぶんそのネタ本です.
人類が突然居なくなったら 地球はどうなるかという想像の世界を描いた本ですが,実際には人類がこれまでどのように環境を変えてきたかということが話の中心になっています.
未来の予想なので科学的な検証が出来るたぐいのものではないのですが,割とまともなことを言っているし,読み物としては面白いかと思います.
人類が突然居なくなったら 地球はどうなるかという想像の世界を描いた本ですが,実際には人類がこれまでどのように環境を変えてきたかということが話の中心になっています.
未来の予想なので科学的な検証が出来るたぐいのものではないのですが,割とまともなことを言っているし,読み物としては面白いかと思います.
2010年6月24日木曜日
インパクトファクター
今年はあまり注意を払っていませんでしたが,MBEの2008年インパクトファクターを見たら10点近くになっていて驚きました.ここ数年で倍になっていますね.
ジャーナルのクオリティ自体は変わっていないと思うので,研究者の層が厚くなったということでしょうか. 同分野の中での位置づけが変わることはないと思いますが,他分野と比べる時には少し張り合いが出るでしょう.
ジャーナルのクオリティ自体は変わっていないと思うので,研究者の層が厚くなったということでしょうか. 同分野の中での位置づけが変わることはないと思いますが,他分野と比べる時には少し張り合いが出るでしょう.
2010年6月21日月曜日
2010年6月8日火曜日
難産だったがそれもよし
ながいこと揉めていた論文がThe New Phytologistという雑誌にようやく通りました.植物学雑誌の中ではわりと有名なようで,生態から分子まで幅広く扱っています.
Multi-locus analysis of genetic divergence between outcrossing Arabidopsis species: evidence of genome-wide admixture
Wei-Kuang Wang, Chuan-Wen Ho, Kuo-Hsiang Hung, Kuo-Hsiung Wang, Chi-Chun Huang, Hitoshi Araki, Chi-Chuan Hwang, Naoki Osada, Tzen-Yuh Chiang.
内容は他家交配をするArabidopsisの種間交雑の遺伝子解析についてで,長らく台湾のグループと進めてきた共同研究です.使っていたサンプルが台湾にだけいる特別なものだと気付くのに時間がかかり,紆余曲折の末にまとまった感じです.
個人的なポイントとしては,マルチローカスデータから得られた遺伝子系統樹の分布が,種の系統樹と一致するかどうかのexactなテストを開発できたところがあります.Gene flowとincomeplete lineage sortingを分子データから区別するのは難しく,最近論文に書いたサルの雑種の問題のように,2種だけの単純なモデルでもたくさんのデータを使ってヘビーな計算をしなければなりません.種が多い場合にはこういった単純な方法の方が効果的だと思います.
最近の論文はequaly contributedとかco-corresponding authorとかが多く感じます.中国だったかの論文で,3人equal contributionで2人co-correspondingというのも見たことがあります.実はあまり節操がないので好きではないのですが,自分にオファーが来た場合は特に断る理由はありません.来るもの拒まずでco-corresponding authorとなっています.
また,今回の論文で密かな野望が達成されました.シカゴ大学に留学していた時には同じデパートメントに在籍した日本の方に色々とお世話になりました.現在はそれぞれバラバラに研究を続けていますが,分野は同じなので,たまに集まってお互いの研究を知らせ合っています.今回の論文で,3名それぞれと共著を持つことができました.持つべきものは仲間です.
一見不純な動機ですが,統計のBox-Cox検定もBoxさんとCoxさんがノリでコラボレーションしたということですから,そういったノリも案外馬鹿には出来ません.
Multi-locus analysis of genetic divergence between outcrossing Arabidopsis species: evidence of genome-wide admixture
Wei-Kuang Wang, Chuan-Wen Ho, Kuo-Hsiang Hung, Kuo-Hsiung Wang, Chi-Chun Huang, Hitoshi Araki, Chi-Chuan Hwang, Naoki Osada, Tzen-Yuh Chiang.
内容は他家交配をするArabidopsisの種間交雑の遺伝子解析についてで,長らく台湾のグループと進めてきた共同研究です.使っていたサンプルが台湾にだけいる特別なものだと気付くのに時間がかかり,紆余曲折の末にまとまった感じです.
個人的なポイントとしては,マルチローカスデータから得られた遺伝子系統樹の分布が,種の系統樹と一致するかどうかのexactなテストを開発できたところがあります.Gene flowとincomeplete lineage sortingを分子データから区別するのは難しく,最近論文に書いたサルの雑種の問題のように,2種だけの単純なモデルでもたくさんのデータを使ってヘビーな計算をしなければなりません.種が多い場合にはこういった単純な方法の方が効果的だと思います.
最近の論文はequaly contributedとかco-corresponding authorとかが多く感じます.中国だったかの論文で,3人equal contributionで2人co-correspondingというのも見たことがあります.実はあまり節操がないので好きではないのですが,自分にオファーが来た場合は特に断る理由はありません.来るもの拒まずでco-corresponding authorとなっています.
また,今回の論文で密かな野望が達成されました.シカゴ大学に留学していた時には同じデパートメントに在籍した日本の方に色々とお世話になりました.現在はそれぞれバラバラに研究を続けていますが,分野は同じなので,たまに集まってお互いの研究を知らせ合っています.今回の論文で,3名それぞれと共著を持つことができました.持つべきものは仲間です.
一見不純な動機ですが,統計のBox-Cox検定もBoxさんとCoxさんがノリでコラボレーションしたということですから,そういったノリも案外馬鹿には出来ません.
2010年5月31日月曜日
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