先日は初めて京大の霊長研にお邪魔してきました.
普段研究の話をする相手が少ないので,人が多いとついはしゃいでしまいます.
写真はバイオリソースプロジェクトで放し飼いにされているニホンザル.檻の中で飼われるよりは良いでしょう.やはりニホンザルはかなり丸っこくて寒冷地に適応しているという印象を受けます.
熱帯のマカクより栄養状態は悪いはずなのに太っているということは,エネルギー代謝に関わる遺伝子が何か変わっているのではないでしょうか.
The Diploid Genome Sequence of an Individual Human
ベンター氏のゲノム配列が発表されたわけですが,最初にニュースを見て0.5%の差異と書いてあったので心臓が飛び出しそうになりました.今までは約0.07%のSNPがあると言われていたわけですから,これは大発見です.
と思って読んでみると,indel(挿入や欠失)を加えた数字のようですね.SNP自体は大体0.06%くらいで今までの推定とあまり変わりません.indelを見つけるのは,ヘテロで持っている時の同定がとても大変です.そこを初めて詳しく解析したということが科学的には重要な発見なのでハイライトにしたのでしょうが,少し紛らわしい表現です.
「ドナーは1946年10月生まれ,自己申告で白人男性」と書いてあるあたりにはユーモアを感じさせます.
見つかったSNPの85%はdbSNPにカバーされていたとか.こちらの方はなかなか興味深いです.
出席してまいりました.発表は色々詰め込みすぎたのか消化不足だったかも.テーマをひとつ削ってもう少し時間をかけても良かったかなと.ただ,再来週の遺伝学会での発表をメインに考えていたので,今回説明しきれなかった部分はそちらで詳しくやろうと思います.
発表でも少し触れましたが,長い時間スケールの進化と短い時間スケールの進化研究の断絶が日本では強いような気がします.これらには本来連続性があるので切り離して考えることはできないと思うのです.断絶というか素養の違いというか,生態学やっている人は分子進化や形態学に詳しくなかったり,その逆があったり.
自分の専門分野だけでなく,色々なものを学べる環境にある人は幸せだと思います.そういった意味では,進化を軸に色々な研究があつまる進化学会は見識を広めるいいチャンスではないでしょうか.
京大でドラマのロケをやっていて,正門が「帝都大学」になっていました.久しぶりに来た人はビックリしますね.
英語を書いていたんですが,ふと急に最上級に'the'をつけるかどうかわからなくなりました.中学生のときに習ったのは.
He is tall. -> He is the tallest.
くらいの決まりだったと思います.理由も知らず'the'をつけていました.一番はひとつしかないから'the'なのよって.
おかしな感覚は名詞が無いのに'the'がついていることでしょうか.これは,"He is the tallest one."の'one'が省略されているとも取れますが,'the tallest'で「一番でかいヤツ」という名詞になっているということでしょうか.それなら'the'がつくのも納得できます.
恥ずかしながら今頃気づきましたが,英語の先生もこれくらいちゃんと教えるべきですよね.
と,副詞の場合にはつけてもつけなくても良いとか.でも感覚的には要らない感じがします.
Natureの記事
http://www.nature.com/nature/journal/v448/n7156/full/448839a.html
アメリカに行って驚いたことは,基礎科学にかなりの重点が置かれていたことです.それまではぼんやりと,西洋的な科学は功利主義的なものだと思っていました.実際には,基礎科学の重要性は先進国ほど理解されているのではないでしょうか.
しかし,科学にかけるお金は経済的な事情が大きいようです.アメリカのここ20年は景気も良く,基礎科学にも十分なお金が支払われてきました.しかし,これからは基礎科学予算が削られていくだろうという不安が研究者の間で広まっています.現に,イラク戦争のツケが今年度のグラントには回ってきていて多くのラボが資金難に陥っているという話をよく聞きます.こうなると,科学に対する評価(予算)は基礎的なものよりも直接的に役に立つ研究に偏っていくでしょう.イギリスでは既に方向性の転換がみられているとのことです.
このタイトルを読んで初めて知ったのですが,innovationとは産業に結びつくという意味が暗黙的に込められているんですね.一見,innovationとscienceは対立関係にはなり得なさそうですが,英語では違うようです.
こういった問題には色々な意見があると思いますが,税金を払う人の立場で考えてみても良いかと思います.すぐ役に立つ研究よりも,知的好奇心を満足させてくれるような発見.こういったものに研究費を使って欲しい国民もいるでしょう.そのためには一般的な科学知識の啓蒙活動を行うことも重要であると思います.寿命の延長よりも精神世界の豊かさを求める人もいるし,少なくとも僕にとっては精神世界の満足度は自然に対する理解によって深まっていると言えます.
最後にこの引用を.
"Researchers have at least two weapons that they should keep well honed: a compelling historical narrative showing the unpredictable paths from science across all disciplines to economic and other benefits; and a demonstration that those best-placed to innovate on the basis of science — and, in turn, to stimulate scientific ideas — are well set up to do so."
改定した論文を投稿終了,やれやれです.
実験のほうも条件設定がすべて終わったのであとは馬車馬のようにルーチンワークをすれば良い段階になりました.これで頭脳をレビューの方に持っていけます.色々勉強してまとめるのは知的に楽しいことなのですが,のちの自分に向けて戒めのメッセージを残しておきます.よいレビューを書くには深い理解と知識が必要だと思いますが,新しい知識を生み出すのはそれよりももっと困難で挑戦的です.更には危険も伴います.
「評論するだけで満足してはいけない」
色々な意味で当てはまる言葉だと思います.
相変わらず忙しく,メールで入ってくる論文のヘッドラインも流し読みくらいしかできません.
夏休みも終わりましたが,結局改定中の論文で手が一杯でした.最初は諦めていましたが,考えに考えてなんとかなりそうな気がしてきました.結局一章分まるまる書き足した感じ.方法論の限界を指摘されているのがキツイ.そりゃあ誰でもお金と人さえあったらやりますよ.はやく終わって忘れたいです.
僕は基本的には短くてスパッとした論文が好きです.仮説があってそれを証明するために図一枚に表一枚.なんてのが理想です.
今回も極力表に出すデータの数を減らしていたのですが,レビュワーのツッコミに答えているうちに図が5枚,表が4つ,サプリメントで図が2枚にテーブル4つととんでもない量になってしまいました.すごい大プロジェクトみたいじゃないですか.今の雑誌は図は何枚つけてもタダなのでカラーをふんだんに使わせて貰いましたが,リジェクトされたらカラーの図からお金を取る雑誌には出せなくなりますね.お願いだから通ってください.
と,追加データも追加実験も終わったのでやれやれ,と思っていたらデータの一部に不整合が.調べてみたら片方のデータベースが古いバージョンだったみたいです.計算やり直しはいいとして,図も書き直し.図は基本的にRでベクトルにしたデータをイラストレーターでいじっています.Rの方はスクリプトを書いてあるから良いとして,イラストレーターはまたチマチマやらないといけないですね.
あとは,10月末が締め切りだと聞いていたレビューの締め切りが9月半ばということが判明.どうやらレビューのレビューがあるようで,それにかかる時間も含めて10月末だということらしいです.一気に辛くなりました.図は他の論文からそのままとってきたいところだけど,版権の許可を取らなきゃいけないですよね.自分で他人のデータから起こして図を描くのとどちらが速いか悩むところです.さすがにレイアウトも一緒の図を描いたらパクったと言われますよね.スライドの発表だと皆さん平気でパクるけど,出版物になると急に厳しくなります.
どうでもいいですが,最近「Уважаемые господа!」みたいなスパムがたくさん届きます.なんとかならないものか.ベイズで学習するスパムフィルターがThunderBirdにはついていますが,最近はかなり賢くなってきました.育成ゲームみたいで楽しいですね.俺のフィルター最強,みたいな.
先日投稿した論文の結果... レフェリーは一勝一敗で再投稿推奨.最近はアクセプトまでの時間を早くするために,改定が多い場合は投稿しなおしのところが多いみたいです.
再投稿なのに「レフェリーへのコメントにすべて答えれば考えなくもない」とか書いていますから,ここは条件付アクセプトと前向きに捉えてリバイスします.レフェリーの意見は厳しいものが多いですが,真面目に答えていくとホントに論文が良くなるから不思議です.とりあえず再解析の方針は立ちました.自分で自分が書いた論文のアラを探すのには限界がありますし,リジェクト無しだったら何回でも厳しい意見を貰って改定したいところです.散々リバイスして結局リジェクト食らったら泣けますけどね.
さて,最近は本格的に実験を始めたのでとても忙しいです.初めて個人で取った研究費なので,真面目に結果を出そうと思っています.改定論文のデータを取り直して,実験と解析をして,9月中に三回も発表があるし,レビューも頼まれてるし,書類作りの雑用もどさっと溜まっています.
来週は北海道に帰って,のんびり書類でも作ってます.夏バテしないように気合いを入れていかないとダメですね.どんなに暑くても食欲がなくなったりはしないので大丈夫だとは思います.
統計解析用のソフトは多々ありますが,僕はフリーのものを中心に使っています.
ちょっとしたものはエクセルで,あとは自分でperlのスクリプトを書いたり,Rを使ったり.Rはフリーでものすごい機能が豊富なので重宝していますが,大きな不満がひとつ.
名前が一文字だから,使い方がわからなくてGoogleでサーチしてもなかなか狙ったものが出てこない.これはかなり痛いです.
グラフはかなり色々描けるのでこれで十分です.エクセルのグラフよりはよく見えます.
たまにエクセルのグラフで,背景灰色,ディフォルトの色(水色,紫,クリーム色)の棒グラフがそのまま論文に載ってたりしますが,あれはもうちょっと工夫しても良いかと思います.せめて背景は白で,余計な横線は入れない.意味の無い3D表示も無駄.プレゼンじゃなくて論文なのだから,データの理解されやすさを優先すべきだと思います.