2012年1月24日火曜日

野人

YOMIURI ONLINEより引用

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未確認大型類人猿「ビッグフット」、真剣に研究

【ワシントン=山田哲朗】北米にいるとされる未知の大型類人猿「ビッグフット」を科学的に研究しようと、米アイダホ州立大が今月、世界初の専門の電子版学術誌を開設した。

ビッグフットは、ゴリラを大きくしたような体格で二足歩行し、北米の太平洋側を中心に目撃や足跡の報告が絶えない。しかし、いたずらや見間違いも多く、科学界では長く、未確認飛行物体(UFO)や幽霊などと同様のたわごととして無視されてきた。

ただ、足跡の中には、地面をけって滑った跡、足紋が全面に残るもの、骨格の発育不全、切り傷が治ったような跡などが見つかっている。一部の研究者は、 ビッグフットは身長2メートル以上で夜行性で、約10万年前に絶滅した身長3メートルの巨大類人猿ギガントピテクスの生き残りが、当時陸続きだったベーリ ング海峡をわたって北米に分布を広げたのではないかなどと真剣に議論している。アジアの「雪男」(イエティ)などは近縁種とみられる。

サイトは「残存ヒト上科の調査」と題され、一般的な学術誌と同じく専門家が投稿を審査する。第1号の論文は、カリフォルニア州のアメリカ先住民の「毛むくじゃらの男」に関する伝承や絵について報告した。

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野人,イエティ,ビッグフットなど色々いますが,今はDNAで真贋が鑑定できるのでいいですね.最近のフロレス人やデニソワ人の例もありますから,古代の人類が生き残っている可能性は否定できませんが,本当にいるならすでにそこそこ見つかっててもおかしくない気もします.

ちなみに,件のオンラインジャーナルはフリーアクセスですので誰でも閲覧可能です.一応査読付き.

http://www.isu.edu/rhi/

2012年1月16日月曜日

メールアドレス変更

遺伝研のメールシステムがgmailに変更されるにしたがってメールアドレスも変わりました.

新しいアドレスは

nosada(あっとまーく)nig.ac.jp

となりますが,前のやつも変わらず受け取ることはできます.

2012年1月5日木曜日

訃報

1月3日に著名な遺伝学者であるJim Crow先生が亡くなられたとのことです.95歳でした.日本ではクロー&木村の遺伝学概説が教科書として有名です.

多くの弟子を育てられた方でした.僕は直接面識はありませんでしたが,ポスドク時代のボスがCrow先生のポスドクをやっていました.

ご冥福をお祈りいたします.

Genetics誌では去年からJim Crowの95歳を祝うレビューのシリーズを始めていたところでした.残念ながら途中で趣旨が変わってしまいましたが,彼の生涯を色々な角度から振り返ることができると思います.

2012年1月4日水曜日

新年のご挨拶

あけましておめでとうございます.

年末はウィルス性の胃腸炎で高熱を出していました.先に実家に帰っていた家族も別口で感染したようで,家族全員が体調を壊すという残念な年末でした.

お正月にはおかげさまで元気になりました.気を取り直して今年も一年頑張っていきたいと思います.次世代シークエンスのデータがたまってきているので,ぼちぼち吐き出していきたいところです.

2011年12月28日水曜日

2011年仕事納め

最近の忙しさにかまけて更新をさぼっているうちに気が付けば今年も終わりになりました.

向こうも忙しいのは重々承知ですが,論文をサブミットしてすっきりして今年の仕事を終わろうと思っています.クリスマスシーズンは避けたので何とか許してほしいところです.

来年は,どんな年になるでしょうか.みなさんぼちぼち頑張りましょう.

2011年12月11日日曜日

タイワンザル

一週間の台湾滞在を終えて本日帰国します.台南にて集中講義とシンポジウム出席を果たしてきました.

少しだけあった自由時間を利用して高雄市にいる野生のタイワンザルコロニーを見てきました.タイワンザルは系統的にも少し謎なところがあり,興味深い動物です.

2011年11月30日水曜日

12月

あっという間に11月も終わりです.もうすぐ遺伝研に移って二年が経つところです.

来週は台湾成功大学で数日間集中講義を行ってくる予定なので暇を見てレポートいたします.

そのあとは毎年恒例,分子生物学祭りに参加予定です.

2011年11月2日水曜日

転写後のエキソンシャフリング


最近はシークエンサーの性能が上がったおかげで色々なことがわかってきます.

Post-transcriptional exon shuffling events in humans can be evolutionarily conserved and abundant

エキソンの位置が進化の過程で再配列されることをエキソンシャフリングと呼びます.多くはゲノム配列上での再配列が原因であると考えられていますが,mRNAに転写された後にエキソンの順番が入れ替わるようなスプライシングが起こるものが結構あるようです.このような転写産物が逆転写されてゲノムに組み込まれれば,ゲノムの進化にも寄与するのではないかと思われます.

2011年10月9日日曜日

マカクの薬剤代謝遺伝子CYP1A2は何故多様性が高いのか?

自分の論文の宣伝ばかりで申し訳ないですが,もう一本.

Yasuhiro Uno, Naoki Osada*. CpG site degeneration triggered by the loss of functional constraint created a highly polymorphic macaque drug-metabolizing gene, CYP1A2. BMC Evol. Biol. 11:283 (2011) [Link].

新日本科学の宇野先生との共同研究です.この研究ではCYP1A2という薬剤代謝に関係する遺伝子の多様性が何故旧世界ザルのマカク属で高くなっているかということの理由を探っています.

CYP(シトクロームP450)遺伝子は一般には薬剤代謝遺伝子としてよく研究されている遺伝子群で,ヒトでは約60種類ほどの遺伝子がゲノムの中に存在します.その中でもCYP1A2は肝臓での薬剤代謝の多くを担う遺伝子です.

マカク属のサルは薬の全臨床試験でよく用いられるサルです.これまでの先行研究ではマカク属のサルであるカニクイザル(ニホンザルとも近縁です)のCYP1A2遺伝子は他の遺伝子と比べて有意に高い多様性を持つことが報告されていました.CYP遺伝子は薬学分野では薬剤を代謝する酵素として知られていますが,自然界に薬が存在するわけではありません.どうして自然に生きる生物が薬剤代謝酵素を持っているかというのは難しい質問ですが,おそらく植物などの二次代謝物を解毒化する作用があるのではないかと考えられています.植物は自分から動いて捕食者から身を守ることができないので,代わりに多くの二次代謝物を産生することによって自分を守っています.麻薬などにもなるアルカロイド化合物はその良い例でしょう.

したがって,多様なCYP遺伝子を持つことは解毒できる化合物のレパートリーを増やすことになり, ある条件下では遺伝子の多様性が有利に働くことが想像できます.こういった自然選択は平衡淘汰と呼ばれ,免疫に関わるMHC遺伝子の進化の例などが知られています.

それでは本当に自然選択でマカク属のCYP1A2遺伝子の多様性が説明できるのか?他の説明も可能ではないのか?

論文では色々な解析を行い幾つかの仮定を排除しているのですが,ここでは要点だけ述べます.私たちが発見したのは,当初の予想と異なり,多くのサル個体がかなりの高頻度で遺伝子の機能がおかしくなった不完全なCYP1A2配列を持っていました.また,遺伝子発現を調べた最近の先行研究では,マカクではCYP1A2の重複遺伝子であるCYP1A1が主に発現しており,CYP1A2の発現は非常に弱くなっていることがわかってきました.

遺伝子発現が弱く,機能していない配列が頻繁にみられるということはマカクのCYP1A2はほとんど機能していないと予想できます.しかし,機能がなくなったという説明は高い多様性がみられたということと矛盾してしまいます.遺伝子が機能を失い中立的に進化すると,その進化パターンは他の機能を持たない領域の進化と同じようになってしまうと予想されるからです.それではどうやってこの矛盾は解消できるのでしょうか.

この問題はしばらく僕の頭を悩ましていたのですが,実は答えはとても単純でした.CYP1A2の変異の有ったところをよく見てみると,その多くはCpGサイト(Cの後にGが続く二塩基)に起こったものでした.哺乳類のCpGサイトの多くはメチル化されており,メチル化されたCは通常の10倍以上の確率でTに変わりやすくなります.

10倍以上変異率が高いということはCpGは哺乳類では急速に失われていくことが予想されます.実際にゲノム全体でCpGの頻度を数えてみると,多くの領域ではCpGはランダムな組み合わせより低くなっています.ところが,遺伝子の近傍や遺伝子内の領域ではCpGはある程度の数に保たれていることがわかっています.何故遺伝子領域でCpGが高くなっているかについてのはっきりとした答えはまだわかっていませんが,アルギニン(CGN)などのタンパク質をコードするものや遺伝子の発現に関わっているものなどがあると考えられています.

さて,霊長類のCYP1A2遺伝子のタンパク質コード領域にあるCpGを見てみると,およそ8%ほどのサイトがCpGサイトであることがわかっています.これは全遺伝子のうちトップ10%に入るので,CYP1A2遺伝子はもともとCpGが多い遺伝子であるということができます.

これらのことを考えると一つのシナリオが提案できるでしょう.つまり,遺伝子がちゃんとした機能を持っている時はCpGの数は負の自然選択により一定に保たれていますが,遺伝子が死ぬとそこに含まれていたCpGサイトが急速に崩壊を始めます.マカクのCYP1A2はまさに遺伝子が死にかけているところを私たちが観察しているのだということができるでしょう.

今回の研究では薬剤代謝遺伝子という特殊な例を挙げましたが,上のCpG崩壊のシステムは恐らくもともとCpG含有率の高い多くの遺伝子に当てはまる可能性があります.今度は逆に,CpGの崩壊率を調べることにより,死にかけている遺伝子を効率よく発見できるようになるかもしれません.

2011年10月6日木曜日

新学術領域 ゲノム・遺伝子相関

日帰りで忙しかったですが,京都で行われた新学術領域 ゲノム・遺伝子相関のキックオフシンポジウムに参加してきました.

発表全体は非常にクオリティが高かったと思います.現在,公募研究の募集が行われています.ゲノム相関といってもピンとこないかもしれませんが,生殖隔離,エピスタシス,性のコンフリクトなど生物学としてとても面白い現象がこれらに含まれると思います.今回の研究計画とは関係ありませんが,僕の核-ミトコンドリアの相互作用に関する研究も内容的には含まれるでしょう.また,別の科研費をもらっている異質倍数体の解析も含まれると思います.

5年間という比較的長い期間が与えられていますので,できるだけ良い結果を残せるように頑張りたいと思います.