2008年1月31日木曜日

右肩に点

つづけてよく間違えるプライムとアポストロフィーの防備録.これもフォントによっては見分けがつかないですが,論文を書くときはきちんと区別したほうがよいでしょう.

・[ ’ ] アポストロフィー(U+0027)
「~の」という所有格や,90年代(90's)などに使う.日本語キーボードだと7+shift.

・[ ‘hoge’ ] シングルクォーテーション(U+2018, U+2019)
引用符,最近のワープロだと’で囲むと勝手に修正してくれます.

・[ ' ] プライム(U+2032)
似ているものを表すときに使う記号.生物だとDNAの方向を5'-endとか3'-endとか書きます.微分の記号もプライムです.フィートとか分もプライムです.

・[ “hoge” ] ダブルクォーテーション (U+201C, U+201D)
引用符,普通の引用はこちらを使う.アメリカ人はカニみたいなジェスチャーをします.

・[ " ] ダブルプライム(U+0022)
インチ,秒,二回微分.あまり使わないかと.

2008年1月29日火曜日

横棒一本

論文を書くときによく間違うのが横棒一本の記号です.

マイナス,ハイフン,ダッシュといろいろな名前があるのですが,フォントによってはどれも同じように見えます.いつも適当に書いて英文校正で怒られるので防備録としてまとめてみました.半角を基本とします.

・[−] マイナス (UNIコード: U+2212)
負の数字を表わしたり,減算をあらわしたりします.テンキーの「-」はハイフンなのでNGです.これが一番紛らわしいです.

・[-] ハイフン(U+2210)
二つの文字をつなげるときや単語の途中で改行するときに使う.(例: cis-reguratory element)

・[–] en dash (U+2213)
エヌダッシュと呼ぶようです.下のエムダッシュよりも若干狭い.数字をここからここまでという時に使います.(例: 5–10 samples)

・[—] em dash(U+2214)
エムダッシュと呼ぶようです.コンマよりも少し強い感じで文章を区切ったり,論文のサブタイトルを示すのに使います.アスキー文字だとダブルハイフン(--)であらわしていたようです.

同じ記号でもさらに別のコードがあったりするみたいです.あとは~(波ダッシュ)なんかもよく使いますが,英語より日本語のほうがよく使われているみたいですね.

2008年1月22日火曜日

Windows Vista

自宅で問題なく使えているので,仕事用のPCをVistaが入った新品にしました.メモリが2Gあればサクサク動きますね.最近ヘビーな計算が多いので,これで仕事がはかどります.本当はクアッドコアのが欲しかったのですが,手ごろな値段のものにしました.

評判が悪いVistaですが,僕はわりと快適に使えています.ただし,こんなことがあるので注意.

Program filesフォルダ以下のプログラムの設定ファイルをメモ帳でいじったりするのが普通にやるとできません.管理者権限でアクセスしているのにパーミッションが無いと怒られるのです.しばらく悩みましたが,ダブルクリックでファイルを開くのではなく,メモ帳を右クリックして管理人権限で起動し,そこからファイルを開くとすんなり行きました.面倒くさいです.

こういったところはさすがに柔軟性を持って設計して欲しいです.WindowsにUnix並みのシステム管理設計を求めている人はいないと思うのですが...

2008年1月18日金曜日

論文リバイス

ここ数日は色々な論文の整理が回ってきます.忙しいことはいいことですが.

と,自分が責任著者の論文のリバイスが来ました.はい,英文校正会社で問題無しとして上がった論文の英語がまだ怒られています.それだけもとの文章が拙かったのでしょうか... それ以外はOKなので,英語さえ少し直せば通りそうです.

お金を払っているのに英語が問題ありでは流石に不味いので校正会社に掛け合ってみました.数人で検討した結果,タダで更に校正してくれるそうです.きちんとフォローしてくれるところで助かりました.

英文校正のサービスをする会社はたくさんありますが,ほとんどが医学や生化学の分野の専門家です.これらの分野はわりと定型化されたスタイルが確立されていると思います.進化などのマイナーな分野を専門とする人はいないし,言わんとすることもより抽象的になってくるため,どうしても完全なフォローは期待できません.最後は自分の力で何とかするしかないのでしょう.

2008年1月9日水曜日

ダブルブラインドの査読は女性の著者を増やす

Double-blind review favours increased representation of female authors

論文の査読のときに,査読者に著者の名前を知らせないシステムをダブルブラインドの査読システムといいます.実際にこれを行なっている雑誌は一般的な生物学の雑誌では少ないと思います.普通は査読者は誰が書いた論文かを知った上で評価します.

明らかにダブルブラインドの方が公正な判断ができるにも関わらず,著者の名前が知らされる理由としては,

1) 研究のバックグラウンド(著者の過去の研究)について査読者がよく知ることができる.
2) 著者の信頼性の担保のため(あいつならこのデータは安心だろうという身内的な判断ができる).
3) そもそも匿名にしても,読む人が読めば誰が書いたか想像がつくし,ついつい想像してしまう.

あとは何かありますかね.まあ,他にも色々とあるでしょう.

しかし,ダブルブラインドを取り入れると女性の著者の割合が他の雑誌に比べて上がったというのが上のレポートです.知らないうちに性別で差別されてリジェクトされる確率が上がっているということでしょうか.日本では特に女性の研究者は少なく,肩身の狭い思いを強いられているかもしれません.

それ以上に研究者の世界で偏っているのは社会層,例えばアフロアメリカンの研究者が少ないことでしょうか.もともと大学に進む割合も低いでしょうし,優秀な人は大学なんかじゃなくてよりお金になる仕事を選ぶのでしょう.生物でも医学や薬学は比較的色々な人種の研究者がいるとは思います.映画とかでも黒人の弁護士とか医者はたくさん出てくるけど,大学の先生は白人男性が多いですね.

2008年1月24日追記

Gender Differences: Need More Data!


僕はちゃんとしたデータを見ていないでコメントをしたのですが,他の雑誌でも女性の著者の割合が上がっているのでそれと比べて有意差は見いだせないだろうという反論です.グラフを見る限りそう見えますね.データを見ることは大事だと改めて勉強になります.

2008年1月8日火曜日

魔法の迷惑メール

迷惑メール,最近多いですね.迷惑メールをフィルターするためにThunderBirdを使っていますが,これで9割くらいの迷惑メールをカットできています.ベイジアンで迷惑メールを判定しているとか.

ところが,最近何通かフィルターを通り抜けてくるメールがあります.なんだかスピリチュアルな霊感商法まがいのメールです.もちろん最初に来たときに迷惑設定をしておいたのですが,その後も次々とフィルターを通り抜けてきます.全く同じアドレスから送信されてきているのに弾けないとはどういうことでしょうか.送信元を特定してフィルターを作ろうと思いましたが,悔しいのでやめて様子をみることにします.

まさに魔法のメールです.これが目的だとすると随分回りくどいことをする人です...

2008年1月7日月曜日

捕鯨について,環境保護について

最近捕鯨の是非について話題になっています.僕はどちらか強い意見を持っているわけではないのですが,「クジラがサカナをたくさん食べるから捕らなければならない」っていうのを理由に捕鯨をしようという意見だけはずっとおかしいと思ってたんですよね.

クジラの先祖は5000万年前くらいのパキシータスという四足獣と考えられています.耳の骨の形がクジラに近いようです.完全に海生になったのはそれからあとです.去年にはより偶蹄類に近いと考えられるマメジカ様の化石が見つかっていますね.ともあれ,ずっと昔からクジラは海にいたわけです,今ほど大型ではなかったとは思いますが.

普通に考えると,魚が減った理由はクジラが増えたからではなく,ヒトが魚を捕りすぎたからですね.クジラの数はエサの資源の量にコントロールされており,それ以上には増えません.自然の生態系が出来上がっているのです.農場で害虫を駆除するレベルでならヒトは環境をコントロールできるかもしれませんが,地表の7割を占める海洋の生態系なんてコントロールできるわけが無いでしょう.このまま行けば,捕鯨をしなくてもクジラは絶滅してしまうかもしれません.恐らく,そのうち漁獲量の制限も国際的に強くなってきて,これから魚は養殖したものが中心になっていくのではないでしょうか.魚好きとしては残念ですが仕方ありません.

グリンピースにみるように,自然保護団体はとかくヒステリックになりがちです.ところが,この件をググってみたら良いサイトを見つけました.

http://www.whalelove.org/whales/facts/fact9

クジラの保護を掲げていますが,意見は非常に冷静です.こういった判断が本当の保護には大切だと思います.

行動を起こすのにきちんとした知識は必要です.先日,原発とか核燃料再処理施設を批判したイメージ映像を人に勧められてYouTubeで見たのですが,放射能と放射性廃棄物の区別もついていないようなお粗末なものでした.何が問題なのか,自分はどうしたいのか,よく勉強して考えてから信念に向かって進んで欲しいと思います.無知で進むことほど怖いものはありません.

2008年1月4日金曜日

A genetic legacy from archaic Homo

Evidence that the adaptive allele of the brain size gene microcephalin introgressed into Homo sapiens from an archaic Homo lineage
A genetic legacy from archaic Homo

個人的には半信半疑なのでコメントは避けますが,面白い可能性なので要旨の日本語訳だけでも.MCPH1対立遺伝子が古人類から遺伝子流入(introgression)したというPNAS論文の(上)流れです.やや補足しながらの訳.

現生人類に対する化石人類の遺伝的な貢献は謎である.古人類は生物学的に現生人類に似ていて,時代的にも地理的にも接触が頻繁にあったと考えられている,そのため二つの過去の集団に交雑があった可能性がある.これら二つの集団は系統的には別なものの,有利な対立遺伝子が片方の集団からもう片方に伝わる可能性がある.もし流入した遺伝子が選択上有利であるなら,交雑がまれであってもその遺伝子はもう一方の集団で広がったり固定したりするだろう.脳の発達に関わるマイクロセファリン遺伝子など,幾つかの遺伝子がこういった古人類からの遺伝子流入を起こした候補として挙げられる.この例は,ヒトの認知能力の一部はネアンデルタール人のような過去の古人類集団から受け継いだものであることを示唆しているかもしれない.

2008年

あけましておめでとうございます.

さてさて,今年はどんな面白い研究があるのか,自分は何をやるのか.新しいことにもチャレンジしたいと思います.

科研費が切れるので頑張って取らないと...