2009年12月1日火曜日

2009年最後の更新

少し早いですが,今年最後の更新とさせていただきます.

先日,現在の勤務先に辞表を提出してきました.

来年一月より心機一転,新たな場所でがんばります.移動先が気になる方は個人的に聞いてください.

気分を変えるために,ブログのデザインやタイトルを変えて再スタートでもしようかと思います.


分子生物学会には参加いたしますのでよろしくお願いいたします.Late breakingで出したので要旨集には載っていませんが,1日目のポスター発表です.それと,3日目にディスカッサーも少し手伝わせていただく予定です.

2009年11月26日木曜日

バーター論文

今週のPNASより,

Caterpillars evolved from onychophorans by hybridogenesis
Donald I. Williamson

上の論文は昆虫の幼虫の形態がonychophora(有爪動物?)からのgene introgressionによるものではないかという説のようです(斜め読みなので間違っていたらすいません).

もちろん単なる仮説に過ぎなく,普通ならあっさりリジェクトされる論文なのですが,メンバーの推薦が大きな力を持つTrack Iなのでうっかり載ってしまったという感じでしょうか.賢い編集者が考えた手は,その下に次の論文を並べることだったようです.

Caterpillars did not evolve from onychophorans by hybridogenesis
Michael W. Hart and Richard K. Grosberg

間違い探しみたいなタイトルですね.

個人的にはこういった夢のある話は大好きです.ただ,致命的に証拠不足だと思いますが.

2009年11月19日木曜日

研究費の見直し2

朝日新聞より「計算基礎科学コンソーシアム」のコメント,

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「実験や観測で調べることのできない領域を探索する唯一の方法は、スパコンを使ったシミュレーション」

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唯一の方法かどうかは別として,この主張は理解できます.スパコンが要らないと思っている人はほとんどいないでしょう.しかし,事業費が適切に使われていたのか,事業がきちんと進んだのか,そもそも最初の計画に無理はなかったのかについての説明にはなっていません.「事業中止=スパコンの開発中止」ではないはずです.

本来は失敗した事業は取りやめて,トップに責任を取らせ,改めてスパコン事業を展開すべきだと思います.しかし,日本のシステムでは一度失敗した事業はそのままお蔵入りになってしまう可能性も高いです.失敗したプロジェクトは責任の所在をはっきりさせてスッパリ解散させることが必要ではないでしょうか.

何が失敗で何が成功だったのかを決める研究成果の評価は確かに難しいです.費用対効果なんてものでは測れませんし,研究の成功の度合いを如何に客観的に評価するかが問題であるでしょう.論文の数だけで評価というのも色々と弊害がありそうです.一番マシなのは論文のピア・レビューのような,匿名性のある同業者の評価ではないかと思います.

今回を良い機会として,研究費のシステムを大きくつくりかえたほうがよいのではないでしょうか.

2009年11月17日火曜日

研究費の見直し

先日に引き続き事業仕訳の話題です.

確かに研究費の補助金は各省庁が色々なものを立てていて重複も多く,省庁内でも複雑な仕組みになっているものがあります.これをスッキリとさせるのはいいことでしょう.


しかし,一本化するならそれに応じて年数回の応募チャンスが必要になってくるかと思います.採択率が二割ちょっとの研究費が,一年に一度しか応募できずに,それが落ちたら一年を棒に振るというのは効率が悪すぎます.


また,下の資料を見たところ,若手研究も削減の対象になりそうです.今年はすでに公募が終わってしまったのですが,どうなるのでしょうか.会議の内容を見ても,ポスドク問題の補助金と若手研究の補助金がごちゃまぜになって議論されているようです.

額が減るのは仕方なくても,採択率が悪くなるのは勘弁してほしいところです.研究者として大事な時期の一年がかかっているわけですから.

http://www.cao.go.jp/sasshin/oshirase/h-kekka/pdf/nov13kekka/3-21.pdf

2009年11月13日金曜日

科学技術にかけるお金は無駄か

このブログではあまり政治の話題はしていませんが,現在行われている事業仕訳で色々と科学研究費関係が挙げられているのでちょっとコメントします.

今日は科学予算がいくつか仕訳対象になっていました.科学の世界で何が無駄か,無駄じゃないかなんてのが判断できるわけはありません.「国民の目線で言うと世界一にこだわる必要があるのか」などというコメントを読むと目まいがします.しかしその一方,科学研究と公共事業の区別がつかないようなプロジェクトがあるのも事実です.

槍玉にあげられたスパコンの開発などは,途中経過を聞く限りは,確かに一度仕切り直しが必要な気もします.

実際には研究に失敗はつきものです.企業だと見込みがない事業はすぐに切り捨てますが,基礎研究にはある程度長い目で投資することが絶対に必要です.

しかし,
国家プロジェクトの特徴は,失敗をなかなか認めないことにもあります.失敗を認めるとファンディング元が責任を負わされる可能性があるからです.長い目で投資をするのと,失敗をうやむやにするために金をじゃぶじゃぶつぎ込むのは,傍目には一緒ですが,中身はまったく違います.

と,今回一番びっくりしたのは,政府のウェブサイト

http://www.cao.go.jp/sasshin/

で,配布資料などが公開されているのですが,なぜか白黒コピー.読めない図もあるし,ウェブに載せるのになぜ白黒なのか.ちょっとこれはお粗末ではないでしょうか.

2009年11月12日木曜日

FOXP2を変えてみた

読売新聞より抜粋

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 人間の培養細胞で両者のFOXP2を働かせてみたところ、人間のFOXP2はチンパンジーに比べて、61個の遺伝子を活発化させ、逆に55個の遺伝子の働きを抑えることが分かった。実際の脳組織でも、こうした働きの違いを確認した。
--

ここまで読んでいるのになぜ次のような見出しになるのでしょうか.専門知識云々のレベルではないような気がします.

「人間の高い言語能力はチンパンジーと遺伝子わずか1個の差」

高い言語能力がその変異のせいかどうか,ましてやその一個の差が唯一の違いなのか,今回の実験だけでわかるわけがありません.発表したグループは,昔からヒトとチンパンジーの脳での遺伝子発現比較を行っているグループです.やりっぱなしが多い業界のなかで,きっちり実験系にまで持っていってるのは偉いと思います.

最近よく思うのですが,ネットのニュースのタイトルは短いもので注目をひかせてクリックさせようとしているのか,中身と全くかけ離れているものが結構ありますね.

原著はこちら,

Human-specific transcriptional regulation of CNS development genes by FOXP2
http://www.nature.com/nature/journal/v462/n7270/full/nature08549.html

2009年11月11日水曜日

A Genealogical Interpretation of Principal Components Analysis

PLoS Geneticsの記事

最近,ゲノムワイドのSNPデータについて主成分分析(PCA)を行う解析方法が流行っておりますが(過去の記事),そもそもそれが何を意味するのかは明らかになっていませんでした.方法としては,サンプルのハプロタイプとSNPの有る無しのマトリクスを作ってそれについて主成分分析をするという単純なものです.

広く使われているにも関わらず,何となく気持ち悪い方法だったのですが,この論文では,Genotypeデータを用いたPCAは二つのアリルの平均coalescent timeをもとに成り立っているという理論的根拠が与えられました.当たり前のように感じる結果ですが,きちんと証明されることは良いことだと思います.

2009年10月29日木曜日

科研費申請書提出

とりあえず事務に提出.政権交替の影響で一部の研究費が途中から募集停止になってしまいました.

若手Sはダメもとで書こうかどうか悩んでいたので,中止になってくれてかえってスッキリです.しかし,申請書を書いてしまった方の怒りと悲しみは大きいのではないでしょうか.

もうすぐ10月も終わりです.11月は色々と忙しくなるので,抱えている仕事をどこまで捌けるか.何度か撃沈した論文をまたまた書き直しているのですが,こねくり回すうちにわかりにくくなってきたのでまた元に戻したり.そろそろ形になってほしいところです.

2009年10月15日木曜日

本棚:研究資金獲得法 ~研究者・技術者・ベンチャー起業家~

研究資金獲得法 ~研究者・技術者・ベンチャー起業家~

文科省の科研費のための資料です.冒頭に,「申請書の書き方のコツを教えます」,というようなことが書いてあったので期待して読んでみたのですが,残念ながら内容は文科省の公募要領をまとめただけのものになっています.

実際のアドバイスは,「公募要領を良く読んでそれに合った内容で,審査員を意識して申請書を書きましょう」くらいのレベルです.最近,実験医学で連載されているものの方がよっぽどタメになりました.

ただ,文科省の補助金には基盤研究などの基本的な科研費だけでなく,色々なものがあるのを概観できるのはいいのかもしれません.どんな公募があるのか知らなければ応募すらできないわけですから,おおざっぱに知っておくことは重要でしょう.


科研費申請

年に一度,文科省科研費の申請シーズンです.去年は落ちてしまったのですが,色々な理由で今年はちょっとまじめに書いています.今までは傾向と対策をあまり練らずにやりたいことだけを書いてきましたが,ちょっと反省しています.

というわけで,傾向と対策を少し練ってみることにしました.科研費データベースというもので過去の研究費の内容を見ることができます.過去に誰がどんなテーマでどれだけの研究費を貰ったのかが確認できます.これは結構面白くて,ついつい時間を忘れて読んでしまいます.そこで気付いたのは採択された研究のタイトルがどれもあまり具体的でないこと.

よく考えるとこれは当然のことで,多くの大学の研究室は,あるテーマに沿って行っている一連の研究を継続するために文科省の科研費に応募していることかと思います.それに比べると僕が今まで出していた研究題目は論文のタイトルのようで,一般性に欠けているように見えます.研究内容が具体的であればあるほど良いと個人的には思っていましたが,やはりバランスが重要なのだと感じます.

2009年10月2日金曜日

イグ・ノーベル賞

今年も日本人が取られたようでめでたい限りです.パンダのフンで生ごみ分解.これはどう考えても受賞者の先生は大まじめです.

「ラクダを使って抗体医療を」という研究を行っている先生もいて,最初は失礼ながらトンデモ研究かと思いましたが,ラクダ科の動物は進化の過程で特殊な抗体分子を持つようになっていると聞いて納得したのを思い出します.

イグ・ノーベル賞を取る研究には主に二種類あると思います.

1.方法論は科学的に怪しいが,研究内容や目的が笑ってしまうようなもの
2.方法論はまっとうな科学の土台に乗っているが,目的や方法がユニークだったりユーモアがあるもの

(1)の方は自慢にはなりませんが,(2)の方は誇れる内容ではないでしょうか.最近の受賞は(2)のものが多いような気がします.一見馬鹿らしい研究を行う余裕があるということはその国が基礎的な科学技術に投資しているという証拠です.

2009年9月29日火曜日

学会参加と論文通過

今月は遺伝学会と人類遺伝学会に,連休を挟んで参加しました.やっと終わって一息ついたところです.

人類遺伝学会は会員ではなく,業務の方で参加させていただきましたが,知っている方も多く楽しめました.いつも間違われるのですが(自分でも紛らわしいと思いますが),僕は人類学会と遺伝学会は会員ですが,人類遺伝学会には入っていません.

と,以前1日半で書き上げた論文がやっと通りました.言い訳ではありませんが,決してやっつけ仕事ではなく,日ごろから研究室のメンバーが地道にデータを出してくれた成果です.

データのデポジッションがメインの雑誌なのですが,レビュワーの注文に答えているうちに普通の論文のようになってしまいました.インパクトは少ない論文ですが,研究費を取って行った研究の成果は論文として発表すべきというポリシーのもとに投稿しています.

ただ,論文を公開するのにもまた研究費が必要なわけですが...

Naoki Osada, Makoto Hirata, Reiko Tanuma, Yutaka Suzuki, Sumio Sugano, Keiji Terao, Jun Kusuda, Yosuke Kameoka, Katsuyuki Hashimoto, Ichiro Takahashi. Collection of Macaca fascicularis cDNAs derived from bone marrow, kidney, liver, pancreas, spleen, and thymus. BMC Res. Notes 2:199 (2009) [Link].

2009年9月13日日曜日

PNAS Track One

Scicenceのニュースより

http://blogs.sciencemag.org/scienceinsider/2009/09/the-academys-jo.html

PNAS(米アカデミー紀要)ではトラックIと呼ばれる,アカデミーメンバー以外の投稿者がメンバーの紹介を通じて投稿する方法(communicated byと書いてある論文)がありましたが,これが来年7月よりなくなるそうです.

トラックIII(メンバー自身による投稿)はそのままのようなので,これからはメンバー以外の人は一般の雑誌と同じプロセス(トラックII)で投稿しなければいけなくなるようです.Iが無くなってIIとIIIになるので,呼び方はたぶん変わるでしょう.

トラックIの論文は奇抜で挑戦的な論文があって,読んでみると面白いものは多いのですが,全体のクオリティと公平性とを高めるという意味では良いことだと思います.

2009年9月8日火曜日

NPGLE

校正してほしい英文があったので,NPGの英文校正に初めて出してみました.プリンス好きの僕にはNPG=New Power Generationなわけですが,Nature Publishing Groupの略です.最近はどんどん雑誌が増殖していますね.スプリンガーとかエルセビアみたいなものを目指しているのでしょうか?

自然科学系の雑誌の数と掲載数はどんどん増えているでしょうから,論文至上主義が続く限りは成長が見込める商売分野なのでしょう.

http://languageediting.nature.com

投稿中の雑誌がNPGの雑誌で,再投稿の際に割引クーポンをくれたので使ってみました(Natureおよび姉妹誌に投稿したわけではありません).なかなか上手いブランド商法です.

感想としては思ったより安くてしっかりしている印象です.ちゃんとネイティブの方がやってくれているのに,価格は他のところより安いくらいだと思います.納期は期限に合わせてちゃんと戻ってきました.

ちょっと高いGoldサービスというものを頼んでみたのですが,最初に1ページ半程度の全体的なコメントをつけてくれました.冠詞がいい加減なのと前置詞が変だということです.これはいつも言われているのに治りません.
あとは細かい語順や時制の間違いですが,ちょっと直してもらうだけで随分と読みやすくなります.

前置詞はネイティブじゃないので完ぺきはあきらめていますが,未だに冠詞を間違えまくるのはなんとか直したいところです.

校正が終わったので,後は最終的な計算結果をあてはめて投稿するだけです.といっても計算が終わるまでにあと1週間はかかりそうですが...

2009年9月1日火曜日

イヌの毛

Coat Variation in the Domestic Dog Is Governed by Variants in Three Genes

http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/1177808

先週に続いてdomesticationの話.今度はイヌの毛に関する遺伝子が三つ見つかったとのことです.一見複雑そうな毛のバリエーションがたった数個の遺伝子にまでさかのぼれるというのは非常に面白いことだと思います.

2009年8月26日水曜日

イネの遺伝学研究

The ethylene response factors SNORKEL1 and SNORKEL2 allow rice to adapt to deep water

http://www.nature.com/nature/journal/v460/n7258/full/nature08258.html

Loss of Function of a Proline-Containing Protein Confers Durable Disease Resistance in Rice

http://www.sciencemag.org/cgi/content/full/sci;325/5943/998

色々なところで海外に負けている日本の生物学ですが,僕がいつもすごいと思うのは日本のイネの遺伝学です.今週も立て続けに栽培化に有用な面白い遺伝子が同定されています.ゲノム解読では中国と痛み分けといった感じですが,遺伝学の分野では一歩先を行っているのではないでしょうか.

理由の一つは,これまでコツコツと遺伝マーカーを整備してきたことが大きいこともあります.通常のモデル生物のマイクロサテライトマーカーは良くて数Mbの領域に一つで,有意なマーカーを見つけてもそこから遺伝子までさかのぼるに手間がかかりました.QTL研究はさまざまな生物で行われていますが,遺伝子の同定まで行く例はあまりありません.イネのマーカーは更に細かい単位で配置されているらしいので,有意なマーカーが一つ見つかればそこからは比較的簡単に近傍の遺伝子が決まります.

イネの交配は非常に忍耐が必要な作業に感じますが,そういったことを辛抱強く繰り返す作業から,ゲノム情報を利用して遺伝子を特定し,更にin vitroの実験まで出来てしまう研究のインフラと研究者が揃っているのでしょう.もちろん,他のモデル生物でも多くの遺伝子が同定されていますが,栽培化に関係する遺伝子は実用面で言っても,進化の面で言っても,とても価値のある発見だと思います.

2009年8月19日水曜日

必需品,Isolation with Migration

今度海外に行く時は忘れずに機内に持ち込みたいもの,目薬です.

長い時間載っているとコンタクトだと辛くなってくるんですよね.ジップロックに入れていけばOKでしょうか.

この前飛行機に乗った時はあの袋は手荷物検査のところでタダで配ってくれるものかと思って,当たり前のように要求したら,係りのお姉さんに少しキレられました.申し訳ありません.

8月9月は論文のリバイスとか本の原稿とかで暫く忙しそうです.良く考えると学会もあります.9月に台湾に行こうと思っていましたが,無理なような気がしてきました.

閑話休題,研究の話を少し,IM(Isolation with Migration)という2つの集団の分岐年代,集団サイズ,移住率をMCMCで推定するプログラムがあります.最近は集団遺伝学だけでなく生態学の分野でも結構使われていてかなりのヒット商品に感じます.これまでのバージョンは集団は2つまでしか扱えなかったのですが,3つ以上も扱えるバージョン2が登場していました.論文はまだ出ていないようなので,知る人ぞ知るですが,プログラムは公開されています.

集団数を増やすのは魅力的ですが,簡単に想像できるように,集団数が増えるとパラメータ数が馬鹿みたいに増えていきます.恐らく3つか4つが限界でしょう.これを使ってリジェクトされた現在論文を改定中です.最近次世代シークエンサーのためにかなり高性能のワークステーションを入れたので,今までよりは早くシミュレーションが進みます.

2009年8月16日日曜日

空港封鎖

スイスまでの乗り換えでパリのシャルル・ドゴール空港を通りました.

ここの空港は二度目なのですが,ここでハプニングが.バスに乗って少し離れたターミナルまで移動したのですが突然バスがストップ.歩いてターミナルのビルに近付いて行くとマシンガンを持った兵隊のお兄さんが並んでいます.

周りの人も状況がよく飲み込めていないようなのですが,伝え聞いた話によると不審な荷物が見つかったのでテロの危険があるとのこと.

出発の時間まで1時間ほどあったのですが,その場に座り込みとりあえず待っていることに.最悪の場合も考えられましたが,30分後に封鎖が解除,無事に飛行機に乗ることができました.封鎖が終わった後の行動が皆さんスムーズだったので日常茶飯事なのかもしれませんが,ちょっと焦りました.

2009年8月9日日曜日

夏休み

決して遊びに行くわけではないのですが,来週はスイスのルツェルンでのセミナーに参加する予定です.

できるだけ仕事のことを忘れたいのも事実ですが,金曜日に論文が一本リジェクト食らったばかりなので色々と考えることが... 最近返事を貰ったもう一本はminor revisionなのでそっちの方はたぶんOKでしょう.

エディタの方がしっかりコメントをくれて,コメントがいっぱいあるけれどこれとこれにちゃんと答えたら再投稿してもいいよ,ということなので頑張ってみようとは思います.

今回はとりあえず英文校正に出さずに,自分の英語のみで放り投げてみたのですが,レビュワーの一人に「俺も人のことは言えないくらいの英語力しかないが,それでもこの英語はまずい」と言われて,今更ながらちょっとへこみます.こればかりはあきらめています.

2009年7月23日木曜日

クマの雑種

クマ亜科には6種が存在します.ツキノワグマ,ヒグマ(グリズリー),ホッキョクグマは日本でも有名だと思いますが,ホッキョクグマとヒグマで雑種ができるというのを最近知りました.色だけでなく,形態的にも結構な違いがあると思います.

地球温暖化で生息域が重なったせいだという説もありますが,過去にも例が見つかっていますし,断定するにはもう少し例証がいるかと思います.

右の図は雑種を形成できる種のペアを示したものですが,ヒグマだけいろんな種と交雑を起こす可能性があるようです.氷河期と間氷期の移り変わりではより多くの交雑があったでしょう.

交雑が起こるのに種の特徴が保たれているのは何故なのか.雑種のクリーム色のクマは妊性があったとしても氷の世界にも陸地の世界にも適応できなく,F2世代以降で環境に適応的でない遺伝子は選択されて除かれていくでしょう.種の形成の時に雑種の不稔性にだけ注目する研究も多いですが,やはり,雑種の表現型の適応度も重要なのだと思います.

図はWikipediaより.

2009年7月21日火曜日

国際生物学オリンピック

国際生物学オリンピックがつくばで開かれ,日本から金メダルの方が出たのはめでたいことです.

しかし,こういったものを見るたびに,「生物学者として必要なものはなんだろうか」,「そもそも生物学とは何なのか」ということに悩まされます.

とりあえず日本代表になった方やメダルをもらった方は優秀だと思うので,生物学の世界に入ってくることは良いことでしょうし,多くの高校生が参加することによって生物学への関心が高まるのも良いことだと思います.

しかし,何かひっかかるのは,与えられた問題に対する答えで順位をつけることにどういった意味があるのか.むしろ高校生に素晴らしい問題を考えてもらって,偉い先生方がそれを解く方が面白いんじゃないかと.

そこらへんで悩んでいるようでは教育者としては自分はまだまだやっていけないのかもしれません.

1000人ゲノム

http://1000genomes.org/

1000人分のゲノムシークエンスを決めるというプロジェクトがありますが,早くもデータが公開されています.dbSNP130は既にこのデータを含んでおり,1000人ゲノムで見つかった5,671,874のSNPのうち,1,916,263は新しいものということです.

それにしても情報の公開が早いのには驚きです.これまで1%以下の頻度の変異は多型(polymorphism)と呼ばないという定義がありましたが,1%に何か根拠があったわけでは無いかと思います.1000人(染色体2000本)に20個以下の変異がいくつも見つかると思いますが,それを多型ではなく変異(mutation)と呼ぶことは果たして妥当なのか.こういったデータがそろってくると,従来の定義も変えざるを得なくなってくるでしょう.

2009年8月28日
追記:全部が公開されていると勘違いしていましたが,良く見ると4人分だそうです.

2009年7月16日木曜日

本棚:生物進化を考える

生物進化を考える (岩波新書)

太田先生の本を紹介したので,順序は逆になりますが木村先生の一般向けの著作を紹介いたします.

僕が進化を学び始めたころには既に,「木村資生=中立進化」というイメージが強かったのですが,この本を読めば,それ以上に進化に対する幅広い知識を持った方だということが良くわかります.細かい数式がいくつか出てきますが,それほど難しいものは載っていないし,無視しても読み進めることができます.

最近の科学書とは違い,文章は格調が高く,説得力があります.時に他の学説や学者をこき下ろすところがありますが,今読んでみると逆に面白いと思います.前半の内容は一般の進化学についてですが,最初の方のフィッシャーやライトの研究を語るところが木村先生にしか書けない内容ではないかと思います.

後半は分子進化の中立説の話です.
このころはDNAのデータはほとんどなかったわけですが,ゲノムという概念がとても適切に使われていることについては驚かされます.世代あたりの突然変異率に対する中立説の立場については数ページが割かれていますが,この部分に関しては太田先生のほぼ中立説の方が説得力があるようです.

最後に木村先生の人類の未来に対する世界観が書かれていますが,ホールデンが提唱したようなサイバーパンクな世界観というよりも,より生物学的立場に立った考察をしているようです.木村先生の優生学に対する考察はしばしば批判されますが,あくまでも進化遺伝学的な立場に立っての考察と断っていますので,批判を受けるほどのものではないと思います.


2009年7月13日月曜日

本棚:分子進化のほぼ中立説

分子進化のほぼ中立説―偶然と淘汰の進化モデル (ブルーバックス)

太田先生が自らほぼ中立説について解説されたものです.ブルーバックスということで一般向けの本なのでしょうが,後半では遺伝子から遺伝子発現,ゲノム構造など話題が広がっていくので,進化学,遺伝学の知識以外にもゲノム分野の知識がある程度ないと理解するのは難しいかもしれません.

前半では集団遺伝学の話,中立説の話からほぼ中立説が生まれたいきさつなどが書かれています.後半では,遺伝子発現やゲノム構造など,生命現象にみられる様々な現象がドリフト(偶然の結果)と淘汰の両方の産物ではないかということに考察が及んでいます.

真核生物にみられる高次のゲノム構造が,「有利だから」という単純な理由で生まれたのではなく,集団サイズが小さいために淘汰が弱く働いた結果であるというMichael Lynchの考え方もほぼ中立説に基づいた考え方だと言えるでしょう.

マイクロRNAなど最新の話題も多く含まれており,最先端でトレンドな進化観を垣間見ることができますが,完全に理解するには結構な勉強が必要かと思われます.


2009年7月9日木曜日

日本の地位低下

科学者というのは微妙なもので,国からお金をもらっていながら必ずしも国のために働くことを第一の目的にはしていないでしょう.しかし,お金を払う政府としては自国の利益を第一の目的とするはずですし,税金を払っている国民も同じことを考えているのかもしれません.

まず一本目はNatureの記事

A highly annotated whole-genome sequence of a Korean individual

次世代ゲノム解読の競争で日本がアメリカや中国に後れを取っているのは周知の事実ですが,韓国の方が先に個人のゲノムのリシークエンスを完了してしまいました.これは非常に残念です.

同じ号のNatureの記事

Japan's tipping point


日本の科学力の低下を憂いている記事ですが,なかなか耳が痛いことが書いてあります.大学院に進む学生も減っているし,海外に出る学生もほとんどいない.経済も下向き.このままでは国際的な競争力が無くなってしまうだろう,と.

すべては現在の日本が内向きで近視眼的過ぎることが原因ではないでしょうか.これから2700億の大型予算がつくと言われていますが,応用向けの巨大な研究プロジェクトではなく,テニュアトラックの大規模な導入など日本の大学に活力が出るような構造改革に使った方が良いというような内容です.

根が深い問題で一朝一夕では解決できない問題かもしれません.僕はアメリカで2年ほどポスドクをしましたが,一番勉強になったのは科学に対する自由な姿勢でした.

最近気になっているのは,「日本の方が研究設備が立派なので海外にわざわざ出る必要はない」という若者のセリフです.大切なのは設備でもお金でもなく,外を向いてオープンに議論する環境なのではないかと思っています.日本の研究世界の多くはオープンとは言えない環境が多いと思います.ちまちま内向きな仕事ばかりやっていては日本はそのまま縮んで消えてしまうでしょう.

2009年7月8日水曜日

本棚:バイオリソース&データベース活用術

バイオリソース&データベース活用術―Webでキャッチ!!実験材料・インフォマティクス (細胞工学 別冊)

売れたからといってこちらに印税が入るわけではありませんが,ほんのちょっとだけ書かせてもらったので宣伝です.前半の部分は色々なデータベースの使い方が載っていますが,専門外の方が概要を知るには便利であると思います.

僕の研究は,生物が何かということをあまり意識しません.DNAの情報になってしまえば,倍数体かそうでないか,性があるか無いか,それくらいしか気にすることがありません.自分にとっては当たり前の考えなのですが,生物学者の大多数は自分が研究をする「リソース」がほぼ固定されているわけです.そういった研究者から観ると我々は節操がないように映るのかもしれません.

実際のところ節操はありませんが...

2009年7月1日水曜日

IF2008

2008年度版のインパクトファクターが出ました.チェックしておきたいところです.

気になったのはMBEが初の7点越えで7.280.うまく流行りを取り入れているような気がします.最近加わったエディタは集団遺伝やゲノム関係が多めなのがそれを表していると思います.

あとは僕がふだん読むようなところはあまり変わらず.分野が分野だけにそれほど浮き沈みは少ないようです.

2009年6月30日火曜日

二分の一

今年も半分終了してしまいました.6月はなかなか更新できませんでしたが,用事があって忙しかったわけではなく,色々と勉強に没頭していました.またもや久しぶりにC++をいじっていますが,前やった分を思い出すのにしばらく時間がかかりました.

昔はLinuxとかも入れてたりしたのですが,最近は面倒なのでWindowsでcygwinを入れて対応しています.ただ,その場合は色々と不具合も多く,対応するだけで精一杯の時も.

秋からは学会なども多くなります.今年は8月にスイスでのワークショップに行く予定なので,国内は9月の遺伝学会にだけ参加することにしました.信州大学とのことです.長野はこれまで一度諏訪に行ったことがあるだけなので楽しみです.

*なぜかFirefoxで見るとタイトルで改行されていないようです.IEだとちゃんと映るのも謎ですね.

2009年6月2日火曜日

平成21年度科研費

不採択なのはわかっていましたが,文科の科研費について本日点数が届きました.予想以上に低かったです.もうちょっと詳細なコメントも欲しいですね.

とりあえず分野選択に失敗したかなと思います.科研費が無くても研究ができるのは僕の強みではありますが,できるだけ取れるように精進したいと思います.今回はちょっと趣味に走りすぎたような気がしますが,科研費に通りやすいような課題を選ぶべきか,自分の興味に忠実に従うか,非常に悩むところです.

2009年5月28日木曜日

論文掲載拒否で苦痛 元大学教授が気象学会を提訴

産経ニュースより一部引用

<「二酸化炭素(CO2)の増加が地球温暖化の原因」との通説をめぐり、因果関係が逆と唱えた論文の機関誌掲載を拒否され、精神的苦痛を受けたとして、槌田敦・元名城大教授が27日、発行元の日本気象学会(東京)に慰謝料100万円を求める訴えを東京地裁に起こした。>

論文が不採用で慰謝料がもらえるなら,僕もそろそろ家を建てている頃でしょう.専門が違うので内容はチェックしていませんが,「学術的な発表ではない」と言われていることからも,科学論文の体裁すらなしていないのだろうと想像します.

2009年5月18日月曜日

新型インフルエンザ

すぐ近所の高校で集団感染がありました.それにしても世間のニュースはインフルエンザ一色です.

個人的な意見では,今回のインフルエンザは若干死亡率が高いということはありますが,通常のインフルエンザと同じレベルの対応で構わないだろうと思っています.水際対策が徹底されていますが,症状が軽微であればあるほどそれをすり抜ける可能性は高く,いつかはすり抜けてくるだろうということは早い段階で予測できたはずです.

ただし,この意見はある程度新型インフルエンザの正体と広まりがわかってきたから言えることであって,早い段階で水際対策に見切りをつけることは行政対応として難しいでしょう.後だしのじゃんけんで,したり顔で政府の対応を批判する解説者がこれからテレビにも出てくるのではないでしょうか.

しかし,情報が少なく,可能性は低くても0では無い場合に我々はどういった行動を取らなければいけないのか.

僕はそもそも強毒型であれ,新型インフルエンザのパンデミックについては楽観的であります.もちろん,危険性はゼロでは無いですが,リスク管理にかけるコストとの兼ね合いになるのかと思います.少なくとも,映画のようにバタバタ人が死んで世界の終りのような大パニックになるということは無いと思います.今回の水際対策と封じ込め対策にかかったコストも一度明らかにした方が良いかもしれません.風評被害などの経済的な打撃も入れるとものすごい金額になると思います.

しかし,僕も飲み屋でビールを飲みながらだったら,いくらでもいい加減なことを話せますが,影響力のある立場で専門家として行政的な対応への意見を求められる,若しくは実際に自分で方針を決めなければいけない場合は弱腰の解答をしてしまうかもしれません.コストをかけて防疫をすればするほど結果は良いにきまってますから.

人間のリスク対策に関するコスト感覚は非常にいい加減なものだと思います.これから起こるかもしれない新型のパンデミックは恐ろしいかもしれませんが,普通の季節性のインフルエンザだって十分危険です.二次的なものも推定すると,年間一万人近くが日本だけで亡くなっているということはあまりニュースでは流れません(直接的な原因でも1000人近く亡くなります).

これは厚生労働行政一般に言えることですが,人の命はお金に換算できません.もちろん,誰もが一日も長く健康で生きたいと思っているでしょう.ただ,そのために無尽蔵にコストをかければいいというわけではなく,どこかで折り合いをつけなければ話は進みません.そのことをまじめに話し合おうとすると,命の重さをお金で計っているような不謹慎さが表れてくる,所謂タブーになる.医療が抱える問題もここら辺が根本的な原因としてあるでしょう.

ただ,今回の感染者の広まりのデータは疫学的にみると非常に重要なものになるでしょう.どれだけの被害があるかどうかは別として,強毒性のインフルエンザが将来発生することはあり得えます.その時に社会としてどのような対策を取るべきか,良い教訓になると思います.

2009年5月15日金曜日

謝辞(acknowledgements/acknowledgments)

今まで知らなかったのが恥ずかしいのですが,論文の謝辞のところで,

acknowledgements/acknowledgments

と二種類書き方があります.間違い探しみたいですね.

僕はなんとなく左のeをつける方を使っていたのですが,左はイギリス英語,右はアメリカ英語ということで良いのでしょうか.他の論文を読むとe無しの方がずっと優勢のようですが,e有りのも結構見かけます.

最近校正に出した論文が帰ってきて,初めてここを直されているのを発見しました.ただ,学生の時には辞書を引いてちゃんとacknowledgmentsと書いていたような気もします.

今回提出予定の論文は,普通の論文というよりデータをまとめたアーカイブ的なもので,自身最短の2日で書き上げました.2000 words以下なのでアブストラクトに毛が生えたような量ですが.

そういえば,シカゴ時代のボスは3日でNature Review Geneticsのレビューを書いたとか自慢していたのを思い出しました.流石にあのボリュームと引用文献の量を3日でまとめるのは人間業ではないと思います.

2009年5月12日火曜日

The foot of Homo floresiensis

Natureの記事です.たまには人類学の話題です.

東南アジアでホモ・フローレンシスという比較的新しい小人型の人類が見つかったことは有名ですが,その骨についての研究.

写真を見ると素人にもわかるのですが,大腿骨に比べて足が異常なくらい大きいのです.これは現生人類よりもより類人猿的な特徴であると.そうすると,ホモ・フローレンシスはジャワ原人などのホモ・エレクトゥスの直系の子孫ですらない可能性があるという可能性もでてくるとのことです.

そうすると,長い間色々な系統の人類が世界中に存在していた可能性もあります.ただ,問題なのは化石から種を同定する際の基準で,形態学者は新しい化石を発見するとついつい新しい種を定義したくなるということはあると思います.人によっては現在まで20種ほどの古代人類種がいたと言っているそうですが,これは他の霊長類と比べても多すぎだと僕は感じています.

2009年5月11日月曜日

マクドナルドから博士号

http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2601223/4134581

マクドナルドがイギリスで大学を作るということです.つまらない話題ですいませんが,
先日からの博士つながりということで.

日本だと,博士(ハンバーガー)と名刺に書くのでしょうか.

2009年5月7日木曜日

博士の日

本日5月7日は「博士の日」だそうです.

普通○○の日というのは,「○○の発展を願う」のような目的があり,イベントなどが企画されることも多いと思います.博士の日は日本最初の博士が認定された日とは言え,誰が何のために設定したのでしょうか.

博士号持ちは5月7日はバスがタダで乗られるとかにならないかどうでしょうか.本の割引なんてのもいいですね.


と,ちょっと調べてみたら博士の日は日本記念日協会という民間の団体が勝手に認定しているようです.というわけで積極的にお祝いをする団体ももちろんなし.駄目記念日認定です.

2009年4月30日木曜日

ヘッドライン

最近はほとんどの雑誌が論文タイトルの一覧をメールで送ってくれます.僕が目を通している雑誌にはこのブログからリンクを貼っています.大事な論文を見逃したりすることも多いですが,他人の研究はアイデアを出す助けになりますのでできるだけちゃんと目を通すようにしています.

PLoS ONEは毎週膨大な量の論文が登録されるのに,内容がカテゴリ分けされていなかったので読むのが辛かったのですが,最近やっとカテゴリ分けされて見やすくなりました.とはいえWomen's HealthとかNeurological Disordersとか基準がイマイチよくわからないカテゴリです.

分野による研究者の多さに関係しているのでしょう.特に生物系は化学,工学,物理などの分野に比べると論文の数が多い傾向にあります.医学系は雑誌の数も多いですね.
聞いたことのない雑誌ですがIFが高かったりします.

PLoS ONEの論文数がどんどん増えている気がしたのでちょっと数えてみると,一週間で100本の論文でした.このペースだと一年間で5,000本.ちなみに,PLoS系は最近になってHTMLの本文に直接コメントを加えられるようになったようです.僕はウェブの論文を読むときに,大事なところをマウスで選んで反転させながら読む癖があるので,非常に不便です.

個人的にはコメント書き込みシステムは嫌いです.論文に間違いや反論はつきものですが,一度発表されたものに対する反論は同じく論文で行われるべきではないでしょうか.論文は自分の作品と思っていますが,それに落書きをされるようなものを感じます.

2009年4月27日月曜日

Mammoth Study Finds New Genes for Mental Retardation

サイエンスの記事です.

http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2009/421/3
http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2009/420/1

タイトルをみてびっくり,どうしてマンモスのゲノムシークエンスから病気の遺伝子がわかるのでしょうか?

と思ったら,「巨大な」という意味のマンモスでした.紛らわしいですね.

それはさておき,X染色体上に精神遅滞に関する遺伝子が多いことは昔から言われていました.面白い仮説に,Male-drivenな精神進化という仮説があります.

1.X染色体上には精神遅滞の原因となる遺伝子が多い.
2.X染色体上の遺伝子は雄ではハプロイドであるため,遺伝子型が劣勢である場合に表現型に表れやすい.
3.男性のIQの幅(分散)は女性よりも広い.

上の三つは1番がきちんと示されれば(とはいえここが一番怪しいのですが),残りはリーズナブルな説明であると思います.つまり,男性のIQの幅はX染色体上の遺伝子によって決定されているのだと.さらに話を進めると,精神や行動にかかわる遺伝子の多型は男性に表れる表現型によって選択され,また,それが促進されるような社会構造を人類は持っている,と.

X染色体が本当に精神に関して相対的に重要な役割を示すのか,これから色々と研究が進めばわかってくることも多いでしょう.どこかでちゃんとした論文も読んだことがあるのですが10年以上前のことなので出典は失念しました.

2009年4月22日水曜日

Publish or Perish

論文か死か.

研究者の悲壮感を表した言葉でもありますが,そんな名前のソフトウェアのご紹介です.

http://www.harzing.com/pop.htm

単にGoogle Scholarからデータを取ってきてh-indexやらトータル論文数やらを計算してくれるだけなのですが,意外と便利かもしれません.ただ,Google Scholarは同じ論文がダブっていたり,学会発表の紀要まで引っ掛かってしまうので,便利な一方ノイズが多いデータになると思います.

それにしても,日本人にはミドルネームが無い人が多いので,同姓同名の区別が大変ですね.どこかで話題になっていましたが,研究者ID制は実現しないのでしょうか.業績評価だけではなく,連絡を取るための所属やメールアドレスが変わってしまうこともあるので,どこかで管理されていると便利なんですけどね.

2009年4月20日月曜日

アインシュタインの脳

Scienceのニュースです.
http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2009/417/1

天才の脳がどうなっているのかは非常に気になるところですが,このニュースで面白かったのは,解剖して得られた脳の行方です.

1955年にアインシュタインが亡くなった時,Thomas Harveyは脳を取り出して保存した後,一部を切片にして他の研究者に提供し,残りを自分で持ち歩きながらアメリカの大学を転々としたそうです.その後寄託され,現在はプリンストン医科大学に保存されているそうです.

剖検で得られるサンプルは所有者がはっきりしていないと聞いたことがあります.もちろん所有者は死亡していますから所有権は主張できないですね.家族はどうなのでしょうか,ちょっと調べてみたら判例があったのでリンクを貼っておきます.

http://www2.kobe-u.ac.jp/~emaruyam/medical/work/papers/kousei/shirai/030201shirai.pdf

もちろんアインシュタインが亡くなった1955年にはインフォームドコンセントなどなかったわけですが...

さて,実際のアインシュタインの脳ですが,頭頂葉が普通より大きく,音楽に関連した分野にも発達の跡が見られたそうです.ただ,一般に言われてきたように,重量はかなり軽いということです.

2009年4月13日月曜日

名前のピンイン

中国語のアルファベット表記をピンインと呼びます.

これが結構曲者で,英語風に読んでしまうと全く違うものになってしまったりすることも.qingと書いてチンと読む,なんて英語の常識ではありえません.eが入った名前も鬼門です.論文でしか読んだことのない著者の中国人の名前が話題になったりすると,全然話が通じなかったり.

そのピンイン表記に関して初めて知ったことです.台湾の人ってちゃんとピンインを書ける人が少ないんですね.適当にアルファベットを当てている人も多いようです.僕のアメリカでの恩師は台湾人でChung-Iさんで,カタカナ発音だとチョンイーと呼んでいたのですが,日本で彼の話をするとチャンイーとか呼ぶ人もいて,一体どちらに発音が近いのか悩むことひとしきりでした.

で,もとの漢字からピンインを調べてみると,Zhong-Yiというのがピンインでの書き方のようです.発音はやはり
チョンイーに近いですね.彼に限らず,台湾人はそれぞれ自分で発音に近いアルファベットをあてているようです.逆にいえば英語的な読み方に近いのかもしれません.

それにしても,最近は論文で中国人著者の名前を見かける機会が多くなりました.苗字も同じのが多いし,何か工夫をしないと同姓同名ばっかりになってしまって,論文検索が混乱するのではないかというのは余計な心配でしょうか.

2009年4月7日火曜日

源平梅

家の前に赤と白の梅が一本の木から咲いています.どんな遺伝的な原因があるのかと昔調べたことがあったのですが,これは源平梅と言って接ぎ木をした植物だそうです.

2009年3月24日火曜日

そろそろ5年目

ちょっと暇な時間ができたと思ったら,取りかからねばならない仕事や論文がドサッとやってきました.

今月が終われば大阪での生活もまる4年が経過することになります.月並みですが早いものです.

4月から5年目に突入しますが,研究所は5年単位の中期計画で動いているので来年度が一区切りとなります.一寸先は闇の研究の世界で,5年後の目標を立てなければいけないのは非常に難しいのではないかと思います.

5年後はどうなっているのか,第三世代のシークエンサーが実用化されているかで僕の研究の世界は全く変わってくると思っています.

2009年3月16日月曜日

ネアンデルタール

先週一週間とドイツのシンポジウムに参加してまいりました.その途中で,人類学の聖地のひとつ,ネアンデルタールに寄ることができました.

写真はネアンデルタールのバス停です.

2009年3月3日火曜日

Bioinformatics: alive and kicking

Genome Biologyのエッセイです.

http://genomebiology.com/2008/9/12/114

前から僕が考えていることと同じ意見なのでリンクしてみました.コンピュータを使う生物学が発達すればするほど,Bioinfomaticsとは何かという疑問が出てくるという趣旨です.

コンピュータを使って生物の研究を行うのがBioinfomaticsなら,WordとExcelを使って論文書いてもBioinfomaticsですよと,僕はたまに冗談で言っています.コンピュータ無しで研究を行う学生など今はいません.

ツールが便利になればなるほど,それを使ってどのような生物学の問題を解いていくのかが重要になると思います.ツールを作る側にももちろん生物学的な知識は要りますが,研究が発展するに伴ってよりハードなComputer Scienceの方にシフトしていくのだと思います.

2009年2月20日金曜日

インドの雑誌

最近よく雑誌への投稿のお誘いのダイレクトメールが来るんですが,聞いたこともないジャーナルばかり.本拠地を見るとインドが多いです.レビューのお誘いなんて言われると一瞬嬉しくなっちゃいますが,知らない出版社の知らない雑誌のお誘いを受けるのには相当な勇気が要ります.

紙媒体無しでオープンアクセスということにして投稿者から掲載料を取れば,人件費が安くアウトソーシングのシステムがしっかりしているインドであれば十分ペイする,というかおいしい商売なのでしょう.

利用者としては細かいタイトルの雑誌がいっぱい作られるよりも,もう全部PLoS ONEでいいんじゃね?と思ってしまうのですが,そこは出版社も営利企業ですから競争原理なのでしょう.細かいカテゴリ分けは紙媒体の時代には便利でしたが,オンラインのオープンアクセスだとキーワードサーチ一発で済んでしまうので意味が薄いんですよね.

Google Sites

ファイル添付に便利なので,CV等を別サイトに移しました.

こちらです.

今週またひとつ年を取ってしまいました.どんどん大人の階段を登っています.

2009年2月15日日曜日

ロケット花火とIFについて

ロケット花火祭りは無事に終了しました.地元の人に聞いても,「お前あんなところ行くのか,hahaha」といった感じで焦りましたが,アホみたいに最前列に陣取らない限りは安全でした.ズボンは少し焼けてしまいましたが...

滞在中にたまたま台湾で学術会議のようなものがあったようで,その話が上がりました.統計によると日本の論文数はアメリカに次いで2位のようなのですが,IFの合計は振るわず,平均値では台湾の18位に負けるどころか32位という結果らしいです.

僕はIF至上主義には反対ですが,少なくとも僕の分野ではIFの高さと論文の内容には相関が見られます.論文数が多いのにIFが低いのは,国内紙への投稿が多いからでしょうか.分野にもよりますが,データだけ見ると日本の論文の質は低いと言わざるを得ないでしょう.

すぐ役に立つ研究だけがいい研究ではないのは確かです.特に僕が興味のある進化の研究などは典型でしょう.ただ,その中にも良いものと悪いものがあるのは確かです.役に立たない研究と質の低い研究をごちゃまぜに評価してはいけない,と,自分への戒めてとしておきます.

2009年2月6日金曜日

ロケット花火祭り

先日も書いた通り,来週から台南に行ってきます.たまたまですが滞在が現地のお祭りと重なって,「Lantern festivalがあるから夜に花火を見に行けるよ」,と聞いていました.提灯を持った人が練り歩くような穏やかな行事を想像していたのですが,それ以外にも何かがある様子...

今日になって,先方から送られてきたメールに貼られていたリンクをたどってみると,

http://www.tainan.gov.tw/cht/action/yanshuai/eng/safety/safety.html

のようなことが書かれています.こんな恰好で花火見物ですか?

なんじゃこりゃと思ってよく調べてみると,

ロケット花火を人に向けて撃ちまくるクレイジーなお祭りのようです.毎年怪我人が多発するようですが,とりあえず大事な洋服は着ていかないことにします.

2009年2月3日火曜日

シラバス

来週から台湾に行く予定なのですが,今週の頭になって突然講義時間が2時間×5コマと告げられました.いや,無理無理.

大学でいつも授業などやっている先生なら授業など手の物かもしれませんが,全く準備なしにいきなりはきついですね.今週はスライド作りに没頭しないといけないようです.教科書通りに進める授業は好きではないので,自分なりの切り口と解釈で授業を行う予定です.大変ですが色々勉強しなおしたりして,とても勉強になる作業です.

2009年1月29日木曜日

Genome Biology and Evolution

随分昔にアナウンスがあったきり忘れていたのですが,

Molecular Biology and Evolutionの姉妹誌が創刊されるようです.2009年中に投稿した論文はタダでオープンアクセスになるとのことです.エディトリアルボードにもなかなか良いメンバーがいらしゃるようですが,どのようにMBEと住み分けていくのか.

Genomeという言葉がポイントだと思いますが,現在のMBE自体ゲノムを扱った論文は多いんですよね.MBEに蹴られたらゲノムを扱っているものはGBE,個々の遺伝子が対象ならJMEとかになるんでしょうか.それともMBEを超えることを目指しているのでしょうか.創刊号を見てみるまでわかりませんね.

とにかく,この時期にわざわざ雑誌を作るのですから,MBEへの投稿自体は盛況なのでしょう.機会があったら投稿してみたいところです.

雑誌のサイトはこちら

Hotspots of Biased Nucleotide Substitutions in Human Genes

二日ほど風邪で寝込んでいました.戻ってきたら山のように新着論文が... その中の一本.

PLoS Biologyの論文

最初はよくあるタイプの論文かと思いましたが,読んでみると非常に興味深い論文です.

遺伝子内で起こったアミノ酸の変異が進化的に有利になってその結果急速に集団に広まるーアミノ酸レベルでの正の淘汰ーというものがよく研究されています.特に,ヒトとチンパンジーが分かれてからどの遺伝子に起こった変異が原因で現在のような表現型の違いが生まれたかという疑問は多くの人が興味を持っているでしょう.

ヒトの進化に限らず,分子進化学で頻繁に用いられる方法に,Ka/Ks(dn/ds)と呼ばれる統計値があります.二種の遺伝子を比較して,アミノ酸を変える非同義置換が起こる割合とアミノ酸を変えない同義置換が起こる割合の比です.これが1より大きいと,非同義置換が同義置換よりも高い割合で起こったのですから,正の淘汰が遺伝子に働いた,と一般的に解釈されてきています.アミノ酸の置換様式を数理モデルに置き換えて尤度比検定を行うバージョンなども存在します.

ところが,色々な方法でこのようなシグナルを示す遺伝子を集めてきたところ,そのトップ遺伝子には(A,T)>(G,C)の置換が多く起こったということがわかりました.こういったパターンでよく思い出されるのは,CGという2続きの塩基(CpG)がメチル化によってTGまたはCAに置換される現象です.この現象はこれとは全く逆です.


ここで,Biased Gene Conversion(BGC)という現象が原因として提案されます.これは減数分裂の時に染色体が組み換えを起こした時,アリル間で起こったミスマッチの修復が
(A,T)>(G,C)に偏るという現象で,色々な研究で証明されている現象です.外から見ると,対立遺伝子の片方の遺伝子だけが子孫に伝わっているように見えます.

しかし,BGCは同義置換にも非同義置換にも同じように働くので,直感的にはKa/Ksは特別高くならないような気がします.しかし,ここで思い出されるのはCpGの変異です.哺乳類,特に霊長類などは同義置換のCG含量が高い遺伝子と低い遺伝子とが不均一に分布しています.つまり,もともとGC含量が高い遺伝子は
同義サイトでBGCの影響を受けにくく,非同義置換の方がより強く影響を受けるということです.したがって,広がる変異は他と比べて生存に有利でなくても構わなく,むしろ不利であっても広がることが可能です.直感的にはわかりにくいかもしれませんが,論文では集団遺伝学のモデルを用いて現実的なモデルであることが示されています.

というわけで,これから
Ka/Ksを調べる時は置換パターンの偏りまで考慮に入れる必要がありそうです.面白いのは,この研究で最も強くシグナルが出た遺伝子はOlfactory Receptor(OR)遺伝子なのですが,これはよくヒトでKa/Ksが高いといわれる割には,霊長類はむしろORは偽遺伝子となっているものが多いと言われていて矛盾するなと感じていたところです.しかも,ORはよく行われる遺伝子機能のクラス分けでは神経関係の遺伝子にも分類されます.ヒトの系統で神経関係の遺伝子が早く進化したという論文は著名なものもいくつかありますが,ここらへんももう一度見直した方がよいものがあるかもしれません.

2009年1月20日火曜日

DOIと文献URL

恥ずかしながら今日知りました.

オンラインの論文に与えられるDOI (Digital Object Identifier)ってのがありますが,"http://dx.doi.org/"の後にこれをつけるだけで論文のサイトに飛ぶんですね.これは便利です.

2009年1月19日月曜日

新規遺伝子の創出

Shintaro Iwashita, Kentaro Nakashima, Motoki Sasaki, Naoki Osada, Si-Young Song. Multiple duplication of the bucentaur gene family, which recruits the APE-like domain of retrotransposon: identification of a novel homolog and distinct cellular expression. Gene accepted (2009).

何度か共著で発表している遺伝子についての研究で,最新の結果がアクセプトされました.

この論文では非常に面白い遺伝子の進化プロセスを明らかにしています.遺伝子の多様性を生み出す一つのメカニズムに遺伝子重複が挙げられます.一つしかない遺伝子の機能が進化によって変わってしまうと機能を損なうことになります.したがって遺伝子のコピー数が増えれば,もともとの機能を保持したままもう一方のコピーは新しい機能を獲得できるようになります(neo-functionalization).大野乾先生が強く提唱したのが有名です.また,もともと一つの遺伝子が果たしていた役割(発現パターン)を,重複後の遺伝子がそれぞれ分担しているような例
(sub-functionalization)も多数見つかっています.

もう一つ,遺伝子の多様性に重要だと考えられている仕組みとして,エキソンの挿入や入れ替えなどによる,exon-shufflingという現象が知られています.このような現象には反復配列の相同組み換えのような仕組みが重要であると考えられています.

bcnt遺伝子では,ウシやシカなどの反芻類の系統でのみ遺伝子重複を起こし,その片方にLINE配列と呼ばれる反復配列の一部が挿入されています.面白いのは,LINE配列は自ら逆転写酵素をコードし自らを増殖させていく利己的な反復配列なのですが,この逆転写にかかわるドメインが丸ごとbcnt遺伝子の途中に挿入されてしまっています.ドメインはどの反芻類でも保存されているので,重複した遺伝子がこのドメインを取り込んで新しい機能を獲得したのは明らかです.つまり,所謂ガラクタと呼ばれている反復配列が立派な機能を持った遺伝子に進化したと言えるのです.

ところが,さらにゲノムの解析を続けたところ,LINEを取り込んだ方のコピーがもう一回遺伝子重複を起こしていることがわかりました.また,遺伝子の発現様式や細胞内局在がコピー間で異なっていることを示されました.

非常に珍しくて奇麗なシナリオが描ける遺伝子進化の例ですが,惜しむらくは機能についての解明が十分に進んでいないことです.反芻類特異的というのがネックになっているわけですが,これから研究を進める価値は十分にあると思われます.

2009年1月13日火曜日

共同研究

先日に共著者の話題が出たばかりですが,ひょんなことから昔お世話になった方に我々の論文に加わってもらうことになりました.一度は一緒に仕事をしたいと思っていた方なので嬉しく思います.まだ論文投稿には至っていませんが,これでアメリカ留学中に一緒だったメンバーとはすべて共同研究が進んでいます.

最近は仕事を頼まれて共著に加わるだけでなく,他の方に協力してもらった共著も多いのでいい感じです.自分と同じレベルで徹底的に批判してくれる友人は貴重です.
慣れ合わず適度に刺激があった方が良い関係を築けるのは確かでしょう.

知恵と努力を寄せ合った共同研究ほど気持ちの良いものはありません.

2009年1月7日水曜日

BioMedExpertsに登録

検索でたまに引っ掛かるので気になっていたのですが,BioMedExpertsというバイオ系研究者用のSNSサイトに登録してみました(タダだったので).PubMedから論文を自動的にサーチしてくれて,自分と共著者とのネットワーク図なんかをつくってくれます.

自分の場合は共著者が44人,共著者の共著者が1697人,その先になると43165人.ダブっている人も多いとは思いますが,世界は狭いのか,それとも研究者が巷に溢れているのか,どちらか悩んでしまうところです.PubMedでは同姓同イニシャルで区別できない著者も多いので,こういったものがあると便利です.

今月のPLoS Computational Biologyには研究者の総背番号制に関する論文も載っていました.僕はこういった試みには賛成です.ちなみにこのブログもそういった試みの一環だと思っています.

I Am Not a Scientist, I Am a Number


2009年1月9日追記

ふと思い出したのですが,レベル2の共著者である1697人には天皇陛下や秋篠宮殿下も入るわけですね.やはり世の中は狭いということでしょうか.

2009年1月2日金曜日

謹賀新年2009

新年明けましておめでとうございます.

今年は色々と目標は立てていますが,具体的なのをひとつ.

出来るだけ無駄にプリントアウトする紙を減らすようにしようと思っています.