さて、論文の解説などはどうしても専門用語が多くなってしまいますが、同じ分野を学ぶ学生さんが勉強になるレベルを想定して書いています。それ以外のことはもっとわかりやすく書くよう努力したいと思っています。
で、タイトルの「猫の目」は生物の話じゃなくて、人の意見は変わるもの、ということ。
「首尾一貫したコメントはできないかもしれないけど許してね」、ということです。
あまりにも意見がコロコロ変わって焦点が定まらないのは論外ですが、自分の間違いに気づいたときは、昔の意見に固執してはいけないというのが僕のポリシーです。なにも研究に限ったことではないですが、客観的な判断力が必要な分野では特に重要です。
僕のアメリカでの恩師は典型的な朝令暮改タイプでした。アイデアがどんどん出てくる。前の日に用意しろと言われたデータを持っていくと、次の日には解釈が違います。前の日に彼が言ったことを繰り返すと、それが如何に間違っていたかを熱っぽく語ってくれます。まるで自分が怒られているかのよう。そして一度方針が決定すると、あとは一気に仕事を進めていきます。
企業などでは嫌われるタイプの上司かもしれませんが、研究の分野では彼のような人物が必要とされますし、まさに尊敬すべき先生です。
隣の部屋のポスドクは、「彼の頭の中はスパゲッティだ」、と言っていましたが、そのおかげでとてもエキサイティングな研究生活を過ごせました。自分には無いエネルギーなので、なんとかその秘密を盗んでやろうと思いましたが、願いは叶わず。
突拍子も無いアイデアでも、よく練ってみればそのうち幾つかは大きな花火になるかもしれません。お馬鹿なアイデアを気軽に出せる環境は、叩かれまいとする意識が強い日本にはあんまりないような気がしますね。
馬鹿になれ。
猪木さんが言うとあまり説得力がありませんが(笑)、ノーベル賞取った人が言うと説得力があるような気がします。