2007年2月19日月曜日

情報検索

久しぶりに図書館へ行って論文をコピーしてきました。今の研究所には図書はほとんど無いので、阪大にまで足を伸ばさなければなりません。かなり面倒です。とはいえ、いつも同じところに篭っているので、広いキャンパスに出かけるのは息抜きになります。

最近はPDFで大方の論文が読めるようになったので便利ですが、なぜか30年くらい前の論文が必要になってしまったので、本からコピーしないとどうしようもありません。学生時代は図書館に行く機会が多かったのですが、最近は本当に用事が少なくなってしまいました。今はウェブ検索で文献をチラ見することができますが、昔は文献を集めるのにも一日がかりでした。気になる文献を全部コピーするわけにも行かないので、山のように本を積んでは、斜め読みで必要なものだけ抜き出してコピーすることが必要でした。
情報=体力。情報を集めることはそれだけで一仕事だったのです。

研究において一番やっちゃいけないのは人が既にやったことを知らずに研究することです。年をとってくると予備知識が増えていくので簡単に判断できるようになりますが、研究を始めたばかりの学生の時は、何が新しくて何が古いのか全く情報がありません。

今ではネットに情報が洪水のように溢れています。昔一日かけて集めた情報が、コンピュータの前だけで手に入ります。何の知識もない学生がWikipediaを見てすばらしい情報量のレポートを書くこともできます(教官が存在を知らなかったら、ですが)。人々は今まで情報を集めるのにかけた時間を、更に多くの情報を集めることに費やさなければいけません。子供の頃に、未来の歴史の教科書は分厚すぎて困るんじゃないだろうかといらぬ心配をした記憶がありますが、今はまさにそれが現実となっているところでしょう。

専門知識だけでなく、巷に溢れるトリビアのおかげで薀蓄のありがたみが薄れてきているように、タダの物知りである学者は必要とされなくなるでしょう。そうであってはいけないと自分には言い聞かせていますが、なかなか難しいところです。

と、本日コピーした論文ですが、半分ばかりコピー機の横に忘れてきたのに気づきました。気がついてもあとの祭り...

知識よりも短期記憶が欲しい今日この頃です。