7月28,29日と国立遺伝学研究所で行われた「中立進化論の現在」という研究会に参加してまいりました.非常に濃い内容で面白い発表も多く,とても勉強になりました.開催のためにご尽力された先生方には感謝いたします.
僕は弱有害突然変異に関する発表をさせていただいたのですが,提唱者である太田先生から論文のコピーも頂くことができて恐縮の極みです.
頂いたのはDNAデータが出る前なのでタンパク質のステップワイズ変異モデルについての論文でした.ふと考えてみると,DNAレベルの仕事ではそれぞれの突然変異が適応度に与える影響は独立(Epistasisが無い)という前提が多く,したがってランダムポワソンフィールドの概念などが適用できるのですが,ハプロタイプの情報を利用して突然変異の組み合わせをモデルに組み込むと,突然変異の蓄積が表現型に与える影響のようなものを定量化できるのかもしれません.暇なときに考えてみる予定です.
2008年7月22日火曜日
2008年度分子生物学会
いつの間にか生化学会と分子生物学会の共催は当たり前になったのでしょうか.ちょっと大きすぎる感じの学会ですが,うちのラボは毎年ここに出すのが慣習なので,簡単にポスター発表をします.といいつつも締め切り延長のお知らせがメールで来て初めて締め切りが過ぎていたことを知りました.場所は神戸なので日帰りです.早く福岡でやらないかな.
(演題)カニクイザル骨髄,脾臓,膵臓由来cDNAライブラリーの解析
毎年粛々と進めているcDNA末端配列解読の進行状況の報告です.現在開発中のカニクイザルゲノムブラウザの発表もできると良いかなと思っています.
(演題)カニクイザル骨髄,脾臓,膵臓由来cDNAライブラリーの解析
毎年粛々と進めているcDNA末端配列解読の進行状況の報告です.現在開発中のカニクイザルゲノムブラウザの発表もできると良いかなと思っています.
2008年7月14日月曜日
本棚:Numerical Recipes Example Book (C++)
あえて間違って買ってしまった本の書評をしてみます.
割と有名なアルゴリズムの教科書を買ったつもりだったのですが,届いて読んでみると何か違う.どこを読んでもアルゴリズム本体のコードが書いていない.
と,よく読んでみると"Example Book"と書いています.つまり,関数を実際にどうやって使用するかというサンプルプログラムが載っているだけです.メインの本と表紙の色が似ているから間違ってアマゾンでクリックしてしまいました.結構高かったのに...
クリックする前に本のタイトルはよく確認しましょう.合掌...
Numerical Recipes Example Book (C++)
割と有名なアルゴリズムの教科書を買ったつもりだったのですが,届いて読んでみると何か違う.どこを読んでもアルゴリズム本体のコードが書いていない.
と,よく読んでみると"Example Book"と書いています.つまり,関数を実際にどうやって使用するかというサンプルプログラムが載っているだけです.メインの本と表紙の色が似ているから間違ってアマゾンでクリックしてしまいました.結構高かったのに...
クリックする前に本のタイトルはよく確認しましょう.合掌...
Numerical Recipes Example Book (C++)
2008年7月10日木曜日
オープンアクセスの展望
霊長類学会の発表が終了.次は遺伝研で行われる「中立進化論の現在」という研究会で発表いたします.まだ手探りの段階の研究なので,色々と意見をいただきたい内容です.
さて,先日のNatureのNewsでPLoSシリーズに対する記事が載っていました.かなり挑戦的な内容なので,案の定色々とコメントが付いています.
http://www.nature.com/news/2008/080702/full/454011a.html
そもそもPLoSシリーズとは,Natureなどの商業誌に対抗して,投稿者が一定の額を負担することによって論文の内容に誰でもアクセスできるシステムを作ろうというのが目的です.しかも一流のものを作ろうと.インパクトファクターの方は順調に推移しており,2007年のものは,
PLoS Biology - 13.5
PLoS Medicine - 12.6
PLoS Computational Biology - 6.2
PLoS Genetics - 8.7
PLoS Pathogens - 9.3
となかなかのハイレベルを維持しています.
Natureの記事の要点は,
一流の雑誌を維持するのにはお金がかかるので,PLoSの経営はこれらの雑誌の掲載料だけでは赤字である.
↓
PLoS ONEというアクセプト率をあげてクオリティーの低い雑誌の掲載料でコストを補っている.
ということです.本来の意図はともかく,もともとクオリティーの低い論文を集めるなんて意図はPLoS ONEにはないわけですから,PLoSの編集者にとっては言いがかりもいいところでしょう.編集者直々のコメントも多数ついています.
とはいえ,PLoS ONE自体は玉石混合でとても良い論文もあればそうでないものもあり,クオリティーは一定ではありません.コメント機能が活かされていないのも当初の予想からは大きく外れているでしょう.
そういった雑誌の特性をちゃんと把握して投稿している人が良いのですが,PLoSという名前に釣られてPLoS ONEに投稿した人は,おそらくそれほど高くならないだろうインパクトファクターにがっかりして今後の投稿を敬遠するかもしれません.そういった投稿がなくなった場合にはたして現在の財政状況を維持できるのか.
せっかくトップの雑誌の評判は良いのですから,財政破綻で雑誌廃刊なんてのはやめてほしいですね.財政破綻をしたら,Scienceあたりが買い取ってくれるかもしれませんが...
本日はもう一本NatureのNewsを紹介.ナイスガイをフィーチャーしたエッペンドルフのオートピペットシステムのプロモーション映像についてです.
http://www.nature.com/news/2008/080709/full/454149a.html
Youtubeの映像はこちら.It's Called epMotion
こんなイケメン揃いのラボがあったら女子の進学率も増えるでしょう.
さて,先日のNatureのNewsでPLoSシリーズに対する記事が載っていました.かなり挑戦的な内容なので,案の定色々とコメントが付いています.
http://www.nature.com/news/2008/080702/full/454011a.html
そもそもPLoSシリーズとは,Natureなどの商業誌に対抗して,投稿者が一定の額を負担することによって論文の内容に誰でもアクセスできるシステムを作ろうというのが目的です.しかも一流のものを作ろうと.インパクトファクターの方は順調に推移しており,2007年のものは,
PLoS Biology - 13.5
PLoS Medicine - 12.6
PLoS Computational Biology - 6.2
PLoS Genetics - 8.7
PLoS Pathogens - 9.3
となかなかのハイレベルを維持しています.
Natureの記事の要点は,
一流の雑誌を維持するのにはお金がかかるので,PLoSの経営はこれらの雑誌の掲載料だけでは赤字である.
↓
PLoS ONEというアクセプト率をあげてクオリティーの低い雑誌の掲載料でコストを補っている.
ということです.本来の意図はともかく,もともとクオリティーの低い論文を集めるなんて意図はPLoS ONEにはないわけですから,PLoSの編集者にとっては言いがかりもいいところでしょう.編集者直々のコメントも多数ついています.
とはいえ,PLoS ONE自体は玉石混合でとても良い論文もあればそうでないものもあり,クオリティーは一定ではありません.コメント機能が活かされていないのも当初の予想からは大きく外れているでしょう.
そういった雑誌の特性をちゃんと把握して投稿している人が良いのですが,PLoSという名前に釣られてPLoS ONEに投稿した人は,おそらくそれほど高くならないだろうインパクトファクターにがっかりして今後の投稿を敬遠するかもしれません.そういった投稿がなくなった場合にはたして現在の財政状況を維持できるのか.
せっかくトップの雑誌の評判は良いのですから,財政破綻で雑誌廃刊なんてのはやめてほしいですね.財政破綻をしたら,Scienceあたりが買い取ってくれるかもしれませんが...
本日はもう一本NatureのNewsを紹介.ナイスガイをフィーチャーしたエッペンドルフのオートピペットシステムのプロモーション映像についてです.
http://www.nature.com/news/2008/080709/full/454149a.html
Youtubeの映像はこちら.It's Called epMotion
こんなイケメン揃いのラボがあったら女子の進学率も増えるでしょう.
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