2010年8月30日月曜日

ミトコンドリアを用いた生物多様性解析

ちょっと前になりますが,進化学会では,生物の多様性を解析する場合には一座位のみを用いた解析では偶然の結果によるバラつきが大きいので,解析する座位数を増やしましょうという話を簡単にさせていただきました.

要は,組み換えが起こらないと,遺伝子の系統の歴史というものは,ある条件で与えられたいくつもの可能な系統パターンの中のたった一つしか反映することができないということです.どのパターンが選ばれるかは過去の偶然によってきまり,今現在どのくらいの個体をサンプルするかには依存しません.サンプル数を増やしても,歴史のサンプル数はたったひとつだということです.この問題は,組み換えを起こしてそれぞれバラバラに継承されている領域を取り,歴史のサンプル数を増やすことによって克服できます.

この点に関してはいくつもの良いレビューがありますが,Ballard and Whitlockのレビューは分子生態学者向けに書かれているので読みやすいのではないかと思います.

もう一つミトコンドリアの解析で気にしなければいけないのは,ミトコンドリアにselective sweepがあるかどうかということでしょう.これは未だに議論の余地があるところですが,基本的なアイデアはGillespieのgenomic draftという,常にselective sweepが起こっていると仮定するモデルです.時間当たり一定の量のselective sweepが起こっていれば,集団サイズが大きいほどより頻繁にsweepが起こり,集団に入ってくる突然変異の量と打ち消しあって集団内の変異量が一定になるというモデルです.BazinらのScienceの論文が有名だと思います.