2007年12月6日木曜日

40th anniversary

「分子進化の中立論40周年」という講演会が来年の2月17日にあると知らされました.中立説ではなくて中立論というところにはおそらく意図があるのでしょう.

自分の誕生日ではないかと思ってよくよく見てみると,1968年2月17日が木村先生の中立説Nature論文が掲載された日のようです.未だに誤解されることの多い理論ですが,40年間に果たした功績は大きいでしょう.日曜日なので時間を作って聞きに行こうかと思っています.

中立説の功の部分についてはここに書ききれないほどあるので,罪の部分について少し書いてみます.それは分子進化を簡単にしすぎたことだと思います.

木村先生は非常に高度な数学的考察を経て中立論を確立したわけですが,得られた結論から突然変異の固定速度は突然変異率に等しいという実に単純ですばらしい予測が導かれました.したがって種差を考える場合(一般的なイメージの進化),
固定する変異のほとんどが中立なのですから,突然変異が集団中に広がる過程についてはブラックボックスとして扱うことができます.その後の日本の分子進化研究は木村先生の功績を追うかたちで中立論に重きを置いたため,相対的に集団中でのプロセスについての研究が弱くなってしまったのではないかと思っています.

しかし,自分の誕生日が中立説の日だとは嬉しいですね.ちなみに,他の2月17日生まれの有名人やイベントはこんな感じ

こういうのはとても便利です.雪の特異日なんてのは初めて耳にしました.