2010年3月31日水曜日

The complete mitochondrial DNA genome of an unknown hominin from southern Siberia

シベリアのDenisovaという洞窟から見つかったおよそ4万年前の古人骨のミトコンドリアDNAを調べたところ,ネアンデルタール人よりもはるか昔,100万年ほど前に分かれた古人類だということが分かりました.つまり,北京原人などのホモ・エレクトゥスとネアンデルタール人の間に出アフリカを果たした古人類の生き残りであると言えます.

フロレス島で見つかった小人もかなり最近まで生きていたということを考えると,意外と最近まで古い人類は生き残っていたのかもしれません. そのうち野人や雪男を捕まえて,DNAを調べてみたいものです.

2010年3月29日月曜日

2009年年度薬学会

岡山で開催されている日本薬学会で,サルの遺伝的多様性をテーマに少し話をさせていただきました.進化的なバックグラウンドをちょっと知るだけでも,実際にサルを用いた研究を行う方には役に立つのではないかなと思います.

今まで参加したことのない大会ですが,規模の大きさに圧倒されます.町全体が学会場という感じです.

2010年3月23日火曜日

論文コピペ

レビューに回ってきた論文のイントロが自分の論文の丸写しだった場合,あなたならどうしますか?

しかも後で読み返して失敗したなと思った文章までそのまま使ってくれています.

まあ,引用してくれてるだけマシなわけですが...

2010年3月18日木曜日

投稿直前のチェック

改定したサルの論文の投稿をやっと終えました.長々と引っ張ってきた仕事なのでそろそろ奇麗に片付いてほしいところです.続きも色々やりたいんですが,現在の状況ではしばらくお預けになっています.誰か興味がある人がいれば引き継いでもらえるのですが.

で,最近の論文の投稿はほぼすべてオンラインで行われています.多くの場合はMSワードで書いたファイルを向こうのウェブサイトにアップロードしてPDFに変換されるのを待ちます.

最近では少なくなったとはいえ,PDFに変換する時のエラーもかなりの確率で起こります.なので,出来上がったPDFに細かく最終チェックを入れるのですが,チェックの時についつい細かいところを色々と直したくなってきてしまいます.

元のファイルをキッチリ直してアップロードを一発で済ませればいいのですが,細かく直して変換,また直して変換,とかなり効率の悪いことをやってしまっています.同じことをやってしまう人も多いのではないでしょうか.

こういった癖は,治そうと思っていてもなかなか治りません.

2010年3月12日金曜日

台南なう

今週は仕事で台南に来ています.毎年一週間ほど滞在をしていて,今年で3年目です.講義や共同研究に関する学生の指導を行っています.


今年はランの研究者とも話をしたのですが,今までしていた間違いに気付きました.

ランの研究は進化研究の教科書に載っているイメージで,まさに知的好奇心を 満たすためだけの研究だと思っていたのですが,台湾ではランの輸出が経済の大きな部分を占めているので,ランの研究は研究費も多いということです.世の中,何が役に立つのかわかりません.

2010年3月6日土曜日

犬山なう

 
京大霊長類研究所の研究会に参加させていただきました.非常に活発な研究会で色々と勉強になりました.

写真は犬山駅すぐそばのモンキー薬局.さすが犬山といったところですが,同行の人類学の先生が,「あれはテナガザルなのでエイプ薬局だ」と鋭く突っ込んでいました.

日本語では類人猿もそのほかの猿もすべてサルでまとめてしまいますが,英語ではテナガザルまでの類人猿はape,そのほかをmonkeyと呼びます.

昔は尻尾の無いサルをapeと呼んでいたので,尻尾のほとんどないニホンザルをJapanese apeと呼んでいたという話も聞いたことがありますが,現在はJapanese monkeyと呼ぶのが普通のようです.

2010年3月2日火曜日

コメント

もともとほとんどコメントはついていませんでしたが,最近スパムコメントが増えてきたのでコメントを非表示にさせていただきます.

2010年3月1日月曜日

ラジオ収録

エフエムみしま・かんなみの遺伝研サイエンスアワーの収録を行ってきました.3/13に放送予定とのことです.

細かいところまで良く覚えていませんが,ちょっとおかしなことを言っていても勘弁して下さい.

今月は色々と忙しく,ブログはなかなか更新できないかもしれません.

3月は4日から6日まで京大の研究会,その次の日から一週間台湾,帰ってきたら研究室の引っ越しで何度か東京を往復,そのあと薬学会のシンポジウムに参加させていただく予定です.

Human and Non-Human Primate Genomes Share Hotspots of Positive Selection

PLoS Geneticsの論文です.

ヒトとチンパンジーの配列を比べたり,ヒトの遺伝的多様性を調べたりすることによってヒト化に関わる遺伝子を見つける試みが行われています.

ただし,我々はヒトが一番進化した存在だとついつい思いがちですが,生命が生まれてから経験した時間はどの生物種も一緒であるとことを忘れてはいけません.また,ほぼ中立説のアイデアにのっとると,有効集団サイズが小さいヒトは,他の霊長類よりもむしろ緩い淘汰を受けているのではないかと考えられます.

この研究では,ヒトで正の淘汰を受けたとされる候補の遺伝子が,他の霊長類でも見られるかということを調べています.興味深いことに,淘汰を受けた遺伝子には統計的に有意な共通性がありました.つまり,ヒトのある遺伝子に早い進化の痕跡がみられたとしても,同じことが他のサルでも見つかった場合には,それはヒトだけの特徴にはならないということです.

驚いたのは,ヒトが言語をしゃべる遺伝的原因の一部になったのではないかといわれるFOXP2遺伝子周辺の多型を見てみると,チンパンジーでもオランウータンでも似たようなパターンがみられるということです.FOXP2に何かが起こったことは確かでしょうが,ヒトにだけ起こったのではないかもしれません.