2009年3月24日火曜日

そろそろ5年目

ちょっと暇な時間ができたと思ったら,取りかからねばならない仕事や論文がドサッとやってきました.

今月が終われば大阪での生活もまる4年が経過することになります.月並みですが早いものです.

4月から5年目に突入しますが,研究所は5年単位の中期計画で動いているので来年度が一区切りとなります.一寸先は闇の研究の世界で,5年後の目標を立てなければいけないのは非常に難しいのではないかと思います.

5年後はどうなっているのか,第三世代のシークエンサーが実用化されているかで僕の研究の世界は全く変わってくると思っています.

2009年3月16日月曜日

ネアンデルタール

先週一週間とドイツのシンポジウムに参加してまいりました.その途中で,人類学の聖地のひとつ,ネアンデルタールに寄ることができました.

写真はネアンデルタールのバス停です.

2009年3月3日火曜日

Bioinformatics: alive and kicking

Genome Biologyのエッセイです.

http://genomebiology.com/2008/9/12/114

前から僕が考えていることと同じ意見なのでリンクしてみました.コンピュータを使う生物学が発達すればするほど,Bioinfomaticsとは何かという疑問が出てくるという趣旨です.

コンピュータを使って生物の研究を行うのがBioinfomaticsなら,WordとExcelを使って論文書いてもBioinfomaticsですよと,僕はたまに冗談で言っています.コンピュータ無しで研究を行う学生など今はいません.

ツールが便利になればなるほど,それを使ってどのような生物学の問題を解いていくのかが重要になると思います.ツールを作る側にももちろん生物学的な知識は要りますが,研究が発展するに伴ってよりハードなComputer Scienceの方にシフトしていくのだと思います.

2009年2月20日金曜日

インドの雑誌

最近よく雑誌への投稿のお誘いのダイレクトメールが来るんですが,聞いたこともないジャーナルばかり.本拠地を見るとインドが多いです.レビューのお誘いなんて言われると一瞬嬉しくなっちゃいますが,知らない出版社の知らない雑誌のお誘いを受けるのには相当な勇気が要ります.

紙媒体無しでオープンアクセスということにして投稿者から掲載料を取れば,人件費が安くアウトソーシングのシステムがしっかりしているインドであれば十分ペイする,というかおいしい商売なのでしょう.

利用者としては細かいタイトルの雑誌がいっぱい作られるよりも,もう全部PLoS ONEでいいんじゃね?と思ってしまうのですが,そこは出版社も営利企業ですから競争原理なのでしょう.細かいカテゴリ分けは紙媒体の時代には便利でしたが,オンラインのオープンアクセスだとキーワードサーチ一発で済んでしまうので意味が薄いんですよね.

Google Sites

ファイル添付に便利なので,CV等を別サイトに移しました.

こちらです.

今週またひとつ年を取ってしまいました.どんどん大人の階段を登っています.

2009年2月15日日曜日

ロケット花火とIFについて

ロケット花火祭りは無事に終了しました.地元の人に聞いても,「お前あんなところ行くのか,hahaha」といった感じで焦りましたが,アホみたいに最前列に陣取らない限りは安全でした.ズボンは少し焼けてしまいましたが...

滞在中にたまたま台湾で学術会議のようなものがあったようで,その話が上がりました.統計によると日本の論文数はアメリカに次いで2位のようなのですが,IFの合計は振るわず,平均値では台湾の18位に負けるどころか32位という結果らしいです.

僕はIF至上主義には反対ですが,少なくとも僕の分野ではIFの高さと論文の内容には相関が見られます.論文数が多いのにIFが低いのは,国内紙への投稿が多いからでしょうか.分野にもよりますが,データだけ見ると日本の論文の質は低いと言わざるを得ないでしょう.

すぐ役に立つ研究だけがいい研究ではないのは確かです.特に僕が興味のある進化の研究などは典型でしょう.ただ,その中にも良いものと悪いものがあるのは確かです.役に立たない研究と質の低い研究をごちゃまぜに評価してはいけない,と,自分への戒めてとしておきます.

2009年2月6日金曜日

ロケット花火祭り

先日も書いた通り,来週から台南に行ってきます.たまたまですが滞在が現地のお祭りと重なって,「Lantern festivalがあるから夜に花火を見に行けるよ」,と聞いていました.提灯を持った人が練り歩くような穏やかな行事を想像していたのですが,それ以外にも何かがある様子...

今日になって,先方から送られてきたメールに貼られていたリンクをたどってみると,

http://www.tainan.gov.tw/cht/action/yanshuai/eng/safety/safety.html

のようなことが書かれています.こんな恰好で花火見物ですか?

なんじゃこりゃと思ってよく調べてみると,

ロケット花火を人に向けて撃ちまくるクレイジーなお祭りのようです.毎年怪我人が多発するようですが,とりあえず大事な洋服は着ていかないことにします.

2009年2月3日火曜日

シラバス

来週から台湾に行く予定なのですが,今週の頭になって突然講義時間が2時間×5コマと告げられました.いや,無理無理.

大学でいつも授業などやっている先生なら授業など手の物かもしれませんが,全く準備なしにいきなりはきついですね.今週はスライド作りに没頭しないといけないようです.教科書通りに進める授業は好きではないので,自分なりの切り口と解釈で授業を行う予定です.大変ですが色々勉強しなおしたりして,とても勉強になる作業です.

2009年1月29日木曜日

Genome Biology and Evolution

随分昔にアナウンスがあったきり忘れていたのですが,

Molecular Biology and Evolutionの姉妹誌が創刊されるようです.2009年中に投稿した論文はタダでオープンアクセスになるとのことです.エディトリアルボードにもなかなか良いメンバーがいらしゃるようですが,どのようにMBEと住み分けていくのか.

Genomeという言葉がポイントだと思いますが,現在のMBE自体ゲノムを扱った論文は多いんですよね.MBEに蹴られたらゲノムを扱っているものはGBE,個々の遺伝子が対象ならJMEとかになるんでしょうか.それともMBEを超えることを目指しているのでしょうか.創刊号を見てみるまでわかりませんね.

とにかく,この時期にわざわざ雑誌を作るのですから,MBEへの投稿自体は盛況なのでしょう.機会があったら投稿してみたいところです.

雑誌のサイトはこちら

Hotspots of Biased Nucleotide Substitutions in Human Genes

二日ほど風邪で寝込んでいました.戻ってきたら山のように新着論文が... その中の一本.

PLoS Biologyの論文

最初はよくあるタイプの論文かと思いましたが,読んでみると非常に興味深い論文です.

遺伝子内で起こったアミノ酸の変異が進化的に有利になってその結果急速に集団に広まるーアミノ酸レベルでの正の淘汰ーというものがよく研究されています.特に,ヒトとチンパンジーが分かれてからどの遺伝子に起こった変異が原因で現在のような表現型の違いが生まれたかという疑問は多くの人が興味を持っているでしょう.

ヒトの進化に限らず,分子進化学で頻繁に用いられる方法に,Ka/Ks(dn/ds)と呼ばれる統計値があります.二種の遺伝子を比較して,アミノ酸を変える非同義置換が起こる割合とアミノ酸を変えない同義置換が起こる割合の比です.これが1より大きいと,非同義置換が同義置換よりも高い割合で起こったのですから,正の淘汰が遺伝子に働いた,と一般的に解釈されてきています.アミノ酸の置換様式を数理モデルに置き換えて尤度比検定を行うバージョンなども存在します.

ところが,色々な方法でこのようなシグナルを示す遺伝子を集めてきたところ,そのトップ遺伝子には(A,T)>(G,C)の置換が多く起こったということがわかりました.こういったパターンでよく思い出されるのは,CGという2続きの塩基(CpG)がメチル化によってTGまたはCAに置換される現象です.この現象はこれとは全く逆です.


ここで,Biased Gene Conversion(BGC)という現象が原因として提案されます.これは減数分裂の時に染色体が組み換えを起こした時,アリル間で起こったミスマッチの修復が
(A,T)>(G,C)に偏るという現象で,色々な研究で証明されている現象です.外から見ると,対立遺伝子の片方の遺伝子だけが子孫に伝わっているように見えます.

しかし,BGCは同義置換にも非同義置換にも同じように働くので,直感的にはKa/Ksは特別高くならないような気がします.しかし,ここで思い出されるのはCpGの変異です.哺乳類,特に霊長類などは同義置換のCG含量が高い遺伝子と低い遺伝子とが不均一に分布しています.つまり,もともとGC含量が高い遺伝子は
同義サイトでBGCの影響を受けにくく,非同義置換の方がより強く影響を受けるということです.したがって,広がる変異は他と比べて生存に有利でなくても構わなく,むしろ不利であっても広がることが可能です.直感的にはわかりにくいかもしれませんが,論文では集団遺伝学のモデルを用いて現実的なモデルであることが示されています.

というわけで,これから
Ka/Ksを調べる時は置換パターンの偏りまで考慮に入れる必要がありそうです.面白いのは,この研究で最も強くシグナルが出た遺伝子はOlfactory Receptor(OR)遺伝子なのですが,これはよくヒトでKa/Ksが高いといわれる割には,霊長類はむしろORは偽遺伝子となっているものが多いと言われていて矛盾するなと感じていたところです.しかも,ORはよく行われる遺伝子機能のクラス分けでは神経関係の遺伝子にも分類されます.ヒトの系統で神経関係の遺伝子が早く進化したという論文は著名なものもいくつかありますが,ここらへんももう一度見直した方がよいものがあるかもしれません.