2007年6月8日金曜日

ポッサムとオポッサムの違い

読んでくれと頼まれた論文にオポッサムのゲノム配列を利用したものがあったのですが、ポッサムと書かれています。気になったので調べてみました。

・ポッサムは有袋類フクロギツネ科、オーストラリア、ニュージーランドに分布
・オポッサムは有袋類オポッサム科、南北アメリカ大陸に分布

有袋類はカンガルーやコアラなどと一緒で胎盤が発達しない哺乳類の仲間です。主にオーストラリア大陸に住んでいますが、オポッサムはアメリカ大陸にも分布しています(正確に言うとオーストラリアとアメリカ大陸だけで生き残った)。

ということで、オポッサムとポッサムは違う生物を指しているのですが、

・英語ではopossumをpossumと略して呼ぶこともある(狸寝入りのことをplay possumと呼ぶ)
・Colloquially, the Virginia opossum is frequently called simply possum.
英語WikiPediaより引用

ようです。なので慣用的にはopossum=possumであるが、学術的には違います。

ちなみに、最近ゲノム配列が決定されたのはオポッサム(
Monodelphis domestica)のほうですので、ポッサムと書くのは不適切でしょう。

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2012年8月28日追記

ふとしたはずみで上の文章が間違っていたのに気づきましたのでお詫びして訂正します.

ゲノムが読まれたのは,Monodelphis domestica,これはOKですで,これはアメリカに住んでいるタイプです.でもってポッサムにはもう一つ使い方があるようです.慣用的にアメリカでポッサムと呼ばれるほかに,wikipediaによると,

"A possum (plural form: possums) is any of about 70 small to medium-sized arboreal marsupial species native to Australia, New Guinea, and Sulawesi (and introduced to New Zealand and China)."


ということで,前者の意味ではゲノムが読まれたのはポッサム,後者の意味ではオポッサムということになります.