2009年11月12日木曜日

FOXP2を変えてみた

読売新聞より抜粋

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 人間の培養細胞で両者のFOXP2を働かせてみたところ、人間のFOXP2はチンパンジーに比べて、61個の遺伝子を活発化させ、逆に55個の遺伝子の働きを抑えることが分かった。実際の脳組織でも、こうした働きの違いを確認した。
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ここまで読んでいるのになぜ次のような見出しになるのでしょうか.専門知識云々のレベルではないような気がします.

「人間の高い言語能力はチンパンジーと遺伝子わずか1個の差」

高い言語能力がその変異のせいかどうか,ましてやその一個の差が唯一の違いなのか,今回の実験だけでわかるわけがありません.発表したグループは,昔からヒトとチンパンジーの脳での遺伝子発現比較を行っているグループです.やりっぱなしが多い業界のなかで,きっちり実験系にまで持っていってるのは偉いと思います.

最近よく思うのですが,ネットのニュースのタイトルは短いもので注目をひかせてクリックさせようとしているのか,中身と全くかけ離れているものが結構ありますね.

原著はこちら,

Human-specific transcriptional regulation of CNS development genes by FOXP2
http://www.nature.com/nature/journal/v462/n7270/full/nature08549.html