韓国の黄教授を含むグループがクローンオオカミを作ったようです。
絶滅の危機がある生物を救うことに異議はありませんが、二匹のクローンを作るためにどれだけの胚が無駄になったのかが気になるところです。余程繁殖が難しい動物ではない限り、遺伝的に均質なクローン動物を作って絶滅を防ぐよりは、繁殖技術と環境整備にお金を費やしたほうが現実的です。
さて、生態学の英語訳はecologyですが、ecologyとは一般的には自然を保全するという意味ができてきます。このような学問の本当の英語訳は厳密にはconservation biologyと呼びます。ちなみに、ecologyという言葉を最初に考えたのは、かの有名な生物学者ヘッケルだそうです。
生態学、すなわちecologyとは環境を含む生態系の記述と解析にあり、生態系を守るかどうかという判断に対しては中立です。同じような関係では、生物学と医学の違いがあります。医学は人の命の大切さを前提としていますが、生物学をいくら学んでも、生命の不思議さは学べても大切さについての結論は出ません。
ほとんどの生態学者は動物の生態系を大切にするでしょうし、生物学者も人や動物の命を大切だと思っていますが、それと学問の立場は関係ないでしょう。