2008年11月29日土曜日

筒デビュー

学会のポスター発表ではこれまで頑なにA4のものを並べて貼っていたのですが,今年の分子生物学会からは筒デビューを果たそうと思います.

A4のメリット: 持ち運びが簡単,飛行機でも手荷物,安価
A4のデメリット: 貼るのが面倒,はがすのが面倒
A0のメリット: 見栄えが良い,貼るのが簡単,はがすのが簡単
A0のデメリット: 持ち運びが面倒(飛行機は場合により手荷物OK),高価


筒で問題なのは国際学会ですね,万が一積み荷に預けた荷物がきちんと届かなかったら最悪です.

筒持ち歩くのめんどくせぇと思いつつも,最近は周りがほとんどA0形式なので,そろそろ負けを認めます.

2008年11月21日金曜日

ダーウィン生誕200周年

来年はダーウィン生誕200周年,種の起源が150周年ということでいろいろなイベントがあるかと思います.それについてのNatureの特集です.

色々とよくまとまった記事が書いてあります.また,著名な進化学者からのコメントも載せられています.面白いのは進化生物学の様々な分野の統合に関して,Niles Eldredgeは悲観的な見方をしていますが,その下のMichael Lynchは建設的な意見を述べています.

僕は建設的な意見に賛成です.すべてのエキスパートになることはできませんが,広い見通しを持ったうえで専門を確立することに対しては努力すべきです.もちろんそんなことは誰でも考えていることですが,実践するのはなかなか難しいことだとは思います.バランスは重要で,専門バカは時代に合わないし(良し悪しは別として),わかっているようで実は何もわかっていないジェネラリストにもなってもいけないでしょう(少なくとも科学者を名乗るならば).

これは自分への戒めでもあります.

2008年11月19日水曜日

JoVE

頼んでもいないのに宣伝メールが送られてきました.

なんとPubMedにも載ってしまうビデオジャーナルの登場です.ピアレビューはあるみたいですね.分野は違うのですが,暇つぶしに見ても結構面白いです.果たしてこれからどうなるのか.楽しみです.

http://www.jove.com/

Journal of Negative Resultsと共に要チェックの雑誌です.

2008年11月17日月曜日

2008 分子生物祭り

先日の一般公開は多くの方に来ていただいて盛況でした.普段から大勢の人の相手をしていないので,慣れない仕事は疲れます.

ちょっと早いですが,再来週に神戸で行われるの分子生物学会でのポスター発表です.発表は12月9日.

「カニクイザル骨髄,脾臓,膵臓胸腺由来cDNAライブラリーの解析」

バタバタしたなかアブストラクトを提出したので,タイトルを間違えていますがご愛敬.サルのcDNA解析のプログレスレポートです.あと,本業(?)の生物資源の宣伝のためのブースにも顔を出している予定です.

2008年11月13日木曜日

論文投稿用画像の解像度

最近立て続けにこの問題について聞かれたので,自分のやり方を少しメモ.

僕は基本的にイラストレーターとフォトショップの黄金コンビで作図をしています.最近は実験の写真をほとんど使わないのでイラストレーター一択です.

雑誌が受け付けるフォーマットでメジャーなのはTIFF,PDF,EPSでしょうか.TIFFはビットマップデータなので情報は点が集まった画像として扱われますが,EPSはベクトルデータなので元の形の情報がすべて含まれています.PDFは場合により両方の情報を含みます.

実際の論文では図の大きさは9cm(シングルカラム)か18cm(ダブルカラム)の幅で表示されることが多いかと思いますが,作図をするときに最初から実寸でつくってしまうと非常にやりにくいと思います.また,論文のレビュー段階では画像の大きさの制限はないので,A4いっぱいの画像を編集している人も多いかと思います.

PDFとEPSは便利なのですが,環境によって不具合が起こる可能性があります.なのでTIFFが一番確実なフォーマットだと思います.主要なドローソフトはTIFFへの書き出しに対応しているはずです.しかし,TIFFの画像を奇麗に印刷するには高い解像度(ふつうは600dpi程度,場合によっては1000dpi)が必要です.ところが,A4いっぱいにつくった画像を600dpiのTIFFに変換するとものすごい大きなファイルになってしまいます.

解決策としては,アートワークを原寸大に縮小してから高解像度のTIFFに書き出す.それかいったん高解像度のTIFFにしたのち,フォトショップで開いて印刷サイズを設定する.フォトショップだと解像度と印刷サイズを同時に変更できるのでとても便利です.

ほかにもいろいろやり方はあると思いますが,僕はこんな感じでやってます.印刷物がしっかりしているような雑誌だと編集者がかなり念入りにアートワークをいじってくれますが,最近流行りのオープンアクセス雑誌は編集がかなりいい加減なものもあり,きちんとこちらで印刷サイズを指定してあげないと論文のPDFファイルの見栄えが悪くなってしまうと思います.

2008年11月11日火曜日

いくらをつくる

秋はいろいろ大変.今週末は研究所の一般公開です.僕のラボでは人工イクラをつくります.

アルギン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混ぜるだけのとても簡単な実験です.写真のようにいろいろな色の絵具で着色してみました.

2008年11月6日木曜日

中学校での授業

明日は近所の中学校で生物に関する授業を行ってきます.内容はDNAと生物の歴史について.

DNAに関する基本的なことを2週間前の授業で学んでいるという前提で,

1. 生き物はそれぞれ違うDNAの暗号を持っている.
2. 生き物はそれぞれ共通の祖先から枝分かれて進化した.
3. 進化の過程でDNAが変化してくる.すなわち最近分かれた生物は,DNAの暗号も似ている.

ということを学んでもらおうと思います.そのうえで,

1. ヒト,サル,ネズミのDNA暗号を比べて,どれが一番似ているかを自分たちで調べる.
2. ヒトとサルのDNAの違いをDNAを制限酵素で切ることによって区別し,電気泳動で目に見えるようにする.

という作業を行おうと考えています.自分で言うのもなんですが,ここまで習う中学生は日本にいないでしょう.願わくばわかりやすい説明ができればと考えています.

努めている研究所の性格上,ヒトの個人の体質の差とDNAの変異を結びつけた授業を行った方がいいのですが,思春期には氏と育ちの問題は割とナイーブな問題かもしれません.したがって,
お気楽な進化の話にしようと思いました.

2008年11月3日月曜日

人類学会(了)

久しぶりの人類学会でした.言いたいことが伝わったかどうかは別として,このような形のシンポジウムが人類学会で行われたことは非常に意義のあることだと思います.

僕は古典的なことをリスペクトしつつ新しいものを取り入れるというスタンスなので,人類学などの歴史のある学問分野には非常に価値があると思っています.

さておき,名古屋で学会終了後,私用で東京まで行ったのですが,帰りの新幹線の自分の席になぜか職場の事務の方が座っていました.どうやら席を間違えて座ってたみたいなんですが,隣に座ってたならいざ知らず,間違えて自分の席に座ってたなんてどんな確率で起こりえるのでしょうか?

「席間違っていますよ」と言ったのですが,相手のほうは何が起こっているのか理解できず.お姉ちゃんのいる店に遊びに行ったら自分の娘が働いていた,という事象が起こる確率よりも低いかもしれません.

ちなみに,東京では大学の友達の結婚式に出てきました.同期の女性はほとんど結婚して子供がいるのですが,ついつい人類学会の気分が抜けず,授乳を止めると本当に月経が来始めるのかどうかみんなに聞いてしまいました.まあ,ここら辺が平気で聞けるのは便利であります.

僕は恥ずかしながらこの話は最近まで知らなかったのですが,出産後に生理が止まる期間は決まっているのではなく,授乳が刺激になっているらしいんですよね.3-4歳まで授乳する民族などでは授乳が終わればすぐに次の子供を作るので,生涯経験する生理の回数はものすごく少なくなります.この生理学的メカニズムは解明されているのでしょうか,気になります.