2009年4月30日木曜日

ヘッドライン

最近はほとんどの雑誌が論文タイトルの一覧をメールで送ってくれます.僕が目を通している雑誌にはこのブログからリンクを貼っています.大事な論文を見逃したりすることも多いですが,他人の研究はアイデアを出す助けになりますのでできるだけちゃんと目を通すようにしています.

PLoS ONEは毎週膨大な量の論文が登録されるのに,内容がカテゴリ分けされていなかったので読むのが辛かったのですが,最近やっとカテゴリ分けされて見やすくなりました.とはいえWomen's HealthとかNeurological Disordersとか基準がイマイチよくわからないカテゴリです.

分野による研究者の多さに関係しているのでしょう.特に生物系は化学,工学,物理などの分野に比べると論文の数が多い傾向にあります.医学系は雑誌の数も多いですね.
聞いたことのない雑誌ですがIFが高かったりします.

PLoS ONEの論文数がどんどん増えている気がしたのでちょっと数えてみると,一週間で100本の論文でした.このペースだと一年間で5,000本.ちなみに,PLoS系は最近になってHTMLの本文に直接コメントを加えられるようになったようです.僕はウェブの論文を読むときに,大事なところをマウスで選んで反転させながら読む癖があるので,非常に不便です.

個人的にはコメント書き込みシステムは嫌いです.論文に間違いや反論はつきものですが,一度発表されたものに対する反論は同じく論文で行われるべきではないでしょうか.論文は自分の作品と思っていますが,それに落書きをされるようなものを感じます.

2009年4月27日月曜日

Mammoth Study Finds New Genes for Mental Retardation

サイエンスの記事です.

http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2009/421/3
http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2009/420/1

タイトルをみてびっくり,どうしてマンモスのゲノムシークエンスから病気の遺伝子がわかるのでしょうか?

と思ったら,「巨大な」という意味のマンモスでした.紛らわしいですね.

それはさておき,X染色体上に精神遅滞に関する遺伝子が多いことは昔から言われていました.面白い仮説に,Male-drivenな精神進化という仮説があります.

1.X染色体上には精神遅滞の原因となる遺伝子が多い.
2.X染色体上の遺伝子は雄ではハプロイドであるため,遺伝子型が劣勢である場合に表現型に表れやすい.
3.男性のIQの幅(分散)は女性よりも広い.

上の三つは1番がきちんと示されれば(とはいえここが一番怪しいのですが),残りはリーズナブルな説明であると思います.つまり,男性のIQの幅はX染色体上の遺伝子によって決定されているのだと.さらに話を進めると,精神や行動にかかわる遺伝子の多型は男性に表れる表現型によって選択され,また,それが促進されるような社会構造を人類は持っている,と.

X染色体が本当に精神に関して相対的に重要な役割を示すのか,これから色々と研究が進めばわかってくることも多いでしょう.どこかでちゃんとした論文も読んだことがあるのですが10年以上前のことなので出典は失念しました.

2009年4月22日水曜日

Publish or Perish

論文か死か.

研究者の悲壮感を表した言葉でもありますが,そんな名前のソフトウェアのご紹介です.

http://www.harzing.com/pop.htm

単にGoogle Scholarからデータを取ってきてh-indexやらトータル論文数やらを計算してくれるだけなのですが,意外と便利かもしれません.ただ,Google Scholarは同じ論文がダブっていたり,学会発表の紀要まで引っ掛かってしまうので,便利な一方ノイズが多いデータになると思います.

それにしても,日本人にはミドルネームが無い人が多いので,同姓同名の区別が大変ですね.どこかで話題になっていましたが,研究者ID制は実現しないのでしょうか.業績評価だけではなく,連絡を取るための所属やメールアドレスが変わってしまうこともあるので,どこかで管理されていると便利なんですけどね.

2009年4月20日月曜日

アインシュタインの脳

Scienceのニュースです.
http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2009/417/1

天才の脳がどうなっているのかは非常に気になるところですが,このニュースで面白かったのは,解剖して得られた脳の行方です.

1955年にアインシュタインが亡くなった時,Thomas Harveyは脳を取り出して保存した後,一部を切片にして他の研究者に提供し,残りを自分で持ち歩きながらアメリカの大学を転々としたそうです.その後寄託され,現在はプリンストン医科大学に保存されているそうです.

剖検で得られるサンプルは所有者がはっきりしていないと聞いたことがあります.もちろん所有者は死亡していますから所有権は主張できないですね.家族はどうなのでしょうか,ちょっと調べてみたら判例があったのでリンクを貼っておきます.

http://www2.kobe-u.ac.jp/~emaruyam/medical/work/papers/kousei/shirai/030201shirai.pdf

もちろんアインシュタインが亡くなった1955年にはインフォームドコンセントなどなかったわけですが...

さて,実際のアインシュタインの脳ですが,頭頂葉が普通より大きく,音楽に関連した分野にも発達の跡が見られたそうです.ただ,一般に言われてきたように,重量はかなり軽いということです.

2009年4月13日月曜日

名前のピンイン

中国語のアルファベット表記をピンインと呼びます.

これが結構曲者で,英語風に読んでしまうと全く違うものになってしまったりすることも.qingと書いてチンと読む,なんて英語の常識ではありえません.eが入った名前も鬼門です.論文でしか読んだことのない著者の中国人の名前が話題になったりすると,全然話が通じなかったり.

そのピンイン表記に関して初めて知ったことです.台湾の人ってちゃんとピンインを書ける人が少ないんですね.適当にアルファベットを当てている人も多いようです.僕のアメリカでの恩師は台湾人でChung-Iさんで,カタカナ発音だとチョンイーと呼んでいたのですが,日本で彼の話をするとチャンイーとか呼ぶ人もいて,一体どちらに発音が近いのか悩むことひとしきりでした.

で,もとの漢字からピンインを調べてみると,Zhong-Yiというのがピンインでの書き方のようです.発音はやはり
チョンイーに近いですね.彼に限らず,台湾人はそれぞれ自分で発音に近いアルファベットをあてているようです.逆にいえば英語的な読み方に近いのかもしれません.

それにしても,最近は論文で中国人著者の名前を見かける機会が多くなりました.苗字も同じのが多いし,何か工夫をしないと同姓同名ばっかりになってしまって,論文検索が混乱するのではないかというのは余計な心配でしょうか.

2009年4月7日火曜日

源平梅

家の前に赤と白の梅が一本の木から咲いています.どんな遺伝的な原因があるのかと昔調べたことがあったのですが,これは源平梅と言って接ぎ木をした植物だそうです.