2011年3月2日水曜日

褒めるということ

先日五條堀さんがブログで褒めるということについて述べていたので一言.

科学者にとって批判的なものの見方が大事なことが言うまでもないことですが,肯定的なものの見方はさらに高度な能力を必要とすると思います.褒めることは叱ることよりも難しいのです.

たぶん,一番難しいのは「具体的に褒めること」ではないでしょうか.人の仕事を見て,この仕事はこういう意義があるということを評価するのはとても難しいことです.「具体的に批判すること」は科学者の基本的な行為というか日常的な業務ですが,褒めることに比べると簡単です.特に方法論について具体的な批判を行うことは,ちょっとした知識と論理があれば簡単です.

一番いけないのは,漠然とした批判,何も考えずに肯定,これは誰でもできます.無条件の肯定は最悪の部類に入るでしょう.

褒めることと批判することのバランスが大事なことは言うまでもありませんが,褒めることのほうが重要であることの理由の一つは,われわれ科学者は評論家でもありますが,基本的にはクリエイターを目指さなければいけないということに尽きると思います.否定ではなく肯定のほうが新しいものを生み出す確率は高いでしょう.

僕自身はついつい評論家に陥りそうな性格をしているので,年を取って左団扇になるまでは創造的な仕事にかかわっていきたいと意識しています.