英語ではハツカネズミをMouse,ドブネズミをRatと呼びますが,日本語では両方ネズミと認識しますね.
言葉というものは面白いもので,普段二つを区別している英語圏の人々には違う生き物として映っているようです.ミッキーマウスとは呼ぶけどミッキーラットとは呼びませんね.生物学を学んでいるとマウスとラットはまったく違うものとわかるのですが,おそらく一般の人はまったく区別していないでしょう.
今日は中国の旧正月のようで,今年はネズミ年です.これが英語のニュースでRat yearと書かれていたので調べてみると,干支のネズミはRatと訳されているようです.ちなみに,干支はAsian zodiac,zodiacは普段は黄道12宮(所謂星座)を指しますので,それのアジア版ということでしょう.
そうすると,ネズミ年を祝って中国の遊園地に現れたミッキーの偽物はミッキーマウスではなくミッキーラットの可能性が高いわけですね.あ,耳の大きいネコってことになってたんでしたっけ.
名前が違うと認識が変わるというのは面白くて,ネイティブの人にこの話をすると決まって,
「じゃあお前らはそのMice and Ratsをどうやって呼んでるんだ?」
と聞かれて困ってしまいます.
「ネズミはネズミじゃボケェッ!」
と返したくて仕方がないのですが, 適当な言葉がありません.
他にも,昔フィリピンに行った時は種類の違うバナナに固有の名前が付いていてなるほどと思いました.北海道でもいろいろなサケを別の固有名詞で呼びます.一般的に身近にあるものにはたくさんの名前がつくのでしょう.
同じ例として,日本では生物種はイネですが食べ物になるとコメ.英語では両方ライス.イネゲノムプロジェクトはRice Genome Projectです.
反対にトウモロコシは,英語ではMaizeとかCornとか呼ばれます.厳密な使い分け方は知りませんがMaizeの方がイギリス英語らしいので格調が高そうに聞こえます.トウモロコシゲノムはMaize GenomeであってCorn Genomeではありません.反対に,Eat cornとは言ってもEat maizeとは言わない気がします.
2008年2月11日追記
書き忘れましたが,ちなみに中国語でもMouseとRatは区別しません.