http://www.nature.com/ng/journal/vaop/ncurrent/abs/ng.78.html
要旨
ヒトの表現型における多様性の多くはさまざまな環境に対する自然選択を反映しているだろう.これまでのいくつかのゲノムワイドな研究が正の選択を受けたゲノム領域を特定してきたが,自然選択がヒトゲノムの多様性にどのように関わっているかはまだ明らかになっていない.われわれはフェーズIIHapMapによる280万個のSNPデータを解析した.われわれは負の淘汰がアミノ酸を変えるようなサイトでは,特に病気にかかわるような遺伝子では,集団の分化が抑えられていることを発見した.反対に,正の淘汰は遺伝子領域,特にアミノ酸を置換するサイトと5'-UTRに働き,集団の分化を速めていることを見つけた.われわれの解析は現在のヒト集団の形態や病気に関連した表現型の多様性に関係した,もしくはまだ関連し続けている領域を同定した.
一言で言うと,集団でよく違っている(高いFst)ところでは他の部分よりも非同義置換の割合が多かった,ということです.非同義置換のFstが高くなるというのはアメリカにいたときハエでやってたけど,他の事に集中してて没にしちゃったんですよね.ざっと見た感じでは予想通りの結果ではありますが丁寧に解析されていて面白い論文だと思います.ただ,経験的にFstが高いサイトやderived allele frequencyが高いサイトは数が少ないので,割合をはかるときにどれくらいの分母になるのかが気になるところ.今解析しているものにも近いところがあるので勉強させていただきます.