2009年5月28日木曜日

論文掲載拒否で苦痛 元大学教授が気象学会を提訴

産経ニュースより一部引用

<「二酸化炭素(CO2)の増加が地球温暖化の原因」との通説をめぐり、因果関係が逆と唱えた論文の機関誌掲載を拒否され、精神的苦痛を受けたとして、槌田敦・元名城大教授が27日、発行元の日本気象学会(東京)に慰謝料100万円を求める訴えを東京地裁に起こした。>

論文が不採用で慰謝料がもらえるなら,僕もそろそろ家を建てている頃でしょう.専門が違うので内容はチェックしていませんが,「学術的な発表ではない」と言われていることからも,科学論文の体裁すらなしていないのだろうと想像します.

2009年5月18日月曜日

新型インフルエンザ

すぐ近所の高校で集団感染がありました.それにしても世間のニュースはインフルエンザ一色です.

個人的な意見では,今回のインフルエンザは若干死亡率が高いということはありますが,通常のインフルエンザと同じレベルの対応で構わないだろうと思っています.水際対策が徹底されていますが,症状が軽微であればあるほどそれをすり抜ける可能性は高く,いつかはすり抜けてくるだろうということは早い段階で予測できたはずです.

ただし,この意見はある程度新型インフルエンザの正体と広まりがわかってきたから言えることであって,早い段階で水際対策に見切りをつけることは行政対応として難しいでしょう.後だしのじゃんけんで,したり顔で政府の対応を批判する解説者がこれからテレビにも出てくるのではないでしょうか.

しかし,情報が少なく,可能性は低くても0では無い場合に我々はどういった行動を取らなければいけないのか.

僕はそもそも強毒型であれ,新型インフルエンザのパンデミックについては楽観的であります.もちろん,危険性はゼロでは無いですが,リスク管理にかけるコストとの兼ね合いになるのかと思います.少なくとも,映画のようにバタバタ人が死んで世界の終りのような大パニックになるということは無いと思います.今回の水際対策と封じ込め対策にかかったコストも一度明らかにした方が良いかもしれません.風評被害などの経済的な打撃も入れるとものすごい金額になると思います.

しかし,僕も飲み屋でビールを飲みながらだったら,いくらでもいい加減なことを話せますが,影響力のある立場で専門家として行政的な対応への意見を求められる,若しくは実際に自分で方針を決めなければいけない場合は弱腰の解答をしてしまうかもしれません.コストをかけて防疫をすればするほど結果は良いにきまってますから.

人間のリスク対策に関するコスト感覚は非常にいい加減なものだと思います.これから起こるかもしれない新型のパンデミックは恐ろしいかもしれませんが,普通の季節性のインフルエンザだって十分危険です.二次的なものも推定すると,年間一万人近くが日本だけで亡くなっているということはあまりニュースでは流れません(直接的な原因でも1000人近く亡くなります).

これは厚生労働行政一般に言えることですが,人の命はお金に換算できません.もちろん,誰もが一日も長く健康で生きたいと思っているでしょう.ただ,そのために無尽蔵にコストをかければいいというわけではなく,どこかで折り合いをつけなければ話は進みません.そのことをまじめに話し合おうとすると,命の重さをお金で計っているような不謹慎さが表れてくる,所謂タブーになる.医療が抱える問題もここら辺が根本的な原因としてあるでしょう.

ただ,今回の感染者の広まりのデータは疫学的にみると非常に重要なものになるでしょう.どれだけの被害があるかどうかは別として,強毒性のインフルエンザが将来発生することはあり得えます.その時に社会としてどのような対策を取るべきか,良い教訓になると思います.

2009年5月15日金曜日

謝辞(acknowledgements/acknowledgments)

今まで知らなかったのが恥ずかしいのですが,論文の謝辞のところで,

acknowledgements/acknowledgments

と二種類書き方があります.間違い探しみたいですね.

僕はなんとなく左のeをつける方を使っていたのですが,左はイギリス英語,右はアメリカ英語ということで良いのでしょうか.他の論文を読むとe無しの方がずっと優勢のようですが,e有りのも結構見かけます.

最近校正に出した論文が帰ってきて,初めてここを直されているのを発見しました.ただ,学生の時には辞書を引いてちゃんとacknowledgmentsと書いていたような気もします.

今回提出予定の論文は,普通の論文というよりデータをまとめたアーカイブ的なもので,自身最短の2日で書き上げました.2000 words以下なのでアブストラクトに毛が生えたような量ですが.

そういえば,シカゴ時代のボスは3日でNature Review Geneticsのレビューを書いたとか自慢していたのを思い出しました.流石にあのボリュームと引用文献の量を3日でまとめるのは人間業ではないと思います.

2009年5月12日火曜日

The foot of Homo floresiensis

Natureの記事です.たまには人類学の話題です.

東南アジアでホモ・フローレンシスという比較的新しい小人型の人類が見つかったことは有名ですが,その骨についての研究.

写真を見ると素人にもわかるのですが,大腿骨に比べて足が異常なくらい大きいのです.これは現生人類よりもより類人猿的な特徴であると.そうすると,ホモ・フローレンシスはジャワ原人などのホモ・エレクトゥスの直系の子孫ですらない可能性があるという可能性もでてくるとのことです.

そうすると,長い間色々な系統の人類が世界中に存在していた可能性もあります.ただ,問題なのは化石から種を同定する際の基準で,形態学者は新しい化石を発見するとついつい新しい種を定義したくなるということはあると思います.人によっては現在まで20種ほどの古代人類種がいたと言っているそうですが,これは他の霊長類と比べても多すぎだと僕は感じています.

2009年5月11日月曜日

マクドナルドから博士号

http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2601223/4134581

マクドナルドがイギリスで大学を作るということです.つまらない話題ですいませんが,
先日からの博士つながりということで.

日本だと,博士(ハンバーガー)と名刺に書くのでしょうか.

2009年5月7日木曜日

博士の日

本日5月7日は「博士の日」だそうです.

普通○○の日というのは,「○○の発展を願う」のような目的があり,イベントなどが企画されることも多いと思います.博士の日は日本最初の博士が認定された日とは言え,誰が何のために設定したのでしょうか.

博士号持ちは5月7日はバスがタダで乗られるとかにならないかどうでしょうか.本の割引なんてのもいいですね.


と,ちょっと調べてみたら博士の日は日本記念日協会という民間の団体が勝手に認定しているようです.というわけで積極的にお祝いをする団体ももちろんなし.駄目記念日認定です.

2009年4月30日木曜日

ヘッドライン

最近はほとんどの雑誌が論文タイトルの一覧をメールで送ってくれます.僕が目を通している雑誌にはこのブログからリンクを貼っています.大事な論文を見逃したりすることも多いですが,他人の研究はアイデアを出す助けになりますのでできるだけちゃんと目を通すようにしています.

PLoS ONEは毎週膨大な量の論文が登録されるのに,内容がカテゴリ分けされていなかったので読むのが辛かったのですが,最近やっとカテゴリ分けされて見やすくなりました.とはいえWomen's HealthとかNeurological Disordersとか基準がイマイチよくわからないカテゴリです.

分野による研究者の多さに関係しているのでしょう.特に生物系は化学,工学,物理などの分野に比べると論文の数が多い傾向にあります.医学系は雑誌の数も多いですね.
聞いたことのない雑誌ですがIFが高かったりします.

PLoS ONEの論文数がどんどん増えている気がしたのでちょっと数えてみると,一週間で100本の論文でした.このペースだと一年間で5,000本.ちなみに,PLoS系は最近になってHTMLの本文に直接コメントを加えられるようになったようです.僕はウェブの論文を読むときに,大事なところをマウスで選んで反転させながら読む癖があるので,非常に不便です.

個人的にはコメント書き込みシステムは嫌いです.論文に間違いや反論はつきものですが,一度発表されたものに対する反論は同じく論文で行われるべきではないでしょうか.論文は自分の作品と思っていますが,それに落書きをされるようなものを感じます.

2009年4月27日月曜日

Mammoth Study Finds New Genes for Mental Retardation

サイエンスの記事です.

http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2009/421/3
http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2009/420/1

タイトルをみてびっくり,どうしてマンモスのゲノムシークエンスから病気の遺伝子がわかるのでしょうか?

と思ったら,「巨大な」という意味のマンモスでした.紛らわしいですね.

それはさておき,X染色体上に精神遅滞に関する遺伝子が多いことは昔から言われていました.面白い仮説に,Male-drivenな精神進化という仮説があります.

1.X染色体上には精神遅滞の原因となる遺伝子が多い.
2.X染色体上の遺伝子は雄ではハプロイドであるため,遺伝子型が劣勢である場合に表現型に表れやすい.
3.男性のIQの幅(分散)は女性よりも広い.

上の三つは1番がきちんと示されれば(とはいえここが一番怪しいのですが),残りはリーズナブルな説明であると思います.つまり,男性のIQの幅はX染色体上の遺伝子によって決定されているのだと.さらに話を進めると,精神や行動にかかわる遺伝子の多型は男性に表れる表現型によって選択され,また,それが促進されるような社会構造を人類は持っている,と.

X染色体が本当に精神に関して相対的に重要な役割を示すのか,これから色々と研究が進めばわかってくることも多いでしょう.どこかでちゃんとした論文も読んだことがあるのですが10年以上前のことなので出典は失念しました.

2009年4月22日水曜日

Publish or Perish

論文か死か.

研究者の悲壮感を表した言葉でもありますが,そんな名前のソフトウェアのご紹介です.

http://www.harzing.com/pop.htm

単にGoogle Scholarからデータを取ってきてh-indexやらトータル論文数やらを計算してくれるだけなのですが,意外と便利かもしれません.ただ,Google Scholarは同じ論文がダブっていたり,学会発表の紀要まで引っ掛かってしまうので,便利な一方ノイズが多いデータになると思います.

それにしても,日本人にはミドルネームが無い人が多いので,同姓同名の区別が大変ですね.どこかで話題になっていましたが,研究者ID制は実現しないのでしょうか.業績評価だけではなく,連絡を取るための所属やメールアドレスが変わってしまうこともあるので,どこかで管理されていると便利なんですけどね.

2009年4月20日月曜日

アインシュタインの脳

Scienceのニュースです.
http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2009/417/1

天才の脳がどうなっているのかは非常に気になるところですが,このニュースで面白かったのは,解剖して得られた脳の行方です.

1955年にアインシュタインが亡くなった時,Thomas Harveyは脳を取り出して保存した後,一部を切片にして他の研究者に提供し,残りを自分で持ち歩きながらアメリカの大学を転々としたそうです.その後寄託され,現在はプリンストン医科大学に保存されているそうです.

剖検で得られるサンプルは所有者がはっきりしていないと聞いたことがあります.もちろん所有者は死亡していますから所有権は主張できないですね.家族はどうなのでしょうか,ちょっと調べてみたら判例があったのでリンクを貼っておきます.

http://www2.kobe-u.ac.jp/~emaruyam/medical/work/papers/kousei/shirai/030201shirai.pdf

もちろんアインシュタインが亡くなった1955年にはインフォームドコンセントなどなかったわけですが...

さて,実際のアインシュタインの脳ですが,頭頂葉が普通より大きく,音楽に関連した分野にも発達の跡が見られたそうです.ただ,一般に言われてきたように,重量はかなり軽いということです.