2007年7月18日水曜日

20%ルールについて

政治的な話はあまり取り上げない方針ですが,一言.

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「博士余り」解消へ「20%ルール」!?物理学会が提言
 若手の研究者は、仕事時間の20%を自由に使って好きな研究を――。日本物理学会(坂東昌子会長)が、こんなユニークな提言を発表する。 「20%ルール」は米企業「グーグル」などが取り入れて、社員のやる気を引き出しているが、学会が呼びかけるのは異例。背景には、博士号を取得しても、希 望する研究職につけない「博士余り」の問題がある。若手博士の視野と発想力を広げ、企業など幅広い分野で活躍させるのが狙いだ。(読売新聞)
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偉い人の理屈は良くわかりませんが,別の観点から僕は20%ルールに賛成です.現在,多くの若手の研究者がプロジェクト型の研究に携わっています.これらの研究プロジェクトの中には論文の生産性が高いものから全く無いものまで色々とあります.最初から学術的発見をすることを目的としていないタイプの研究プロジェクトもたくさんあります.

現在の若手研究者のサバイバルレースには論文発表の業績が欠かせません.良いのか悪いのかは言いませんが,生物系では特に発表論文数とそのインパクトファクターが重視されます.

論文生産性の低いプロジェクトに一度でもポスドクで入ってしまうとレース脱落,では話になりません.ある程度はプロジェクトに縛られない時間(できれば予算も)を与えられないと不公平でしょう.極論ですが,ボスがポスドクを雇う場合には一人頭の研究費の20%をポスドクに好きに使わせる,くらいで丁度いいと思います.ポスドクじゃなくて助教なんかでも同じで,雑務や教授の下請けから開放された時間と金が20%でもあると随分やる気がでてくるのではないでしょうか.ある程度余裕があってこそ,新しくて面白い発見の下地ができるのではないかと思います.

*冒頭で政治的な話は好きでないと書いたのには色々事情があります.僕自身,結論の出ない議論は嫌いです.政治的な話は議論になりやすく,いつも賛否両論で結論はありません.もちろん,議論することによって自分の認識と相互の理解が向上することもありますが,今はネットを歩き回るだけで簡単に色々な人の意見を目にすることができるでしょう.そのなかから自分なりの答えを出していけば良いかと思います.「そういうことを言っている人もいる」くらいの認識で結構じゃないでしょうか.実際に政治を動かす偉い人の立場だと他人のコンセンサスを取らなければいけないので別であると思いますが,われわれ下々のものにとっては他人を説得する過程にはあまり意味は無く,自分なりの結論さえあれば十分です.というわけでこの手の話題はすべてコメント不許可にします.